本格的な品質のキャンバスを手塗りで制作しました。キャンバスとは、油絵など、絵画に多く用いられている麻布のことです。今回は生の麻布の生地を木枠に張り、地塗りをする工程から行いました。絵画技法の歴史上、古くから伝わる最もポピュラーな技法を学ぶことにしました。
絵を描くためには土台が必要です。紙、板、キャンバスなど、様々な土台に描かれています。その土台のことを支持体(しじたい)と呼びますが、描画材料の種類によって、その支持体の選び方や描き方が変わってきます。
油絵を描くための支持体としては、キャンバス以外に板(パネル)も多く扱われています。キャンバスよりも歴史が古く、保存的にも丈夫ですが、キャンバスを支持体に用いた絵画は、板に比べて軽量かつ持ち運びの利点から、多くの画家に親しまれています。また、木枠を再利用できる点や、近年ではロールとしてキャンバスを入手し、個人レベルで張ることができる手軽さもあります。
高校美術部では油絵を描いています。油絵具の特徴を活かし、要領よく描き進めるためには、キャンバスの表面を工夫する必要があります。油分の吸収性や、表面の凹凸を調整する方法があります。油絵具を使って描く方法だけではなく、その下層のキャンバスのしくみを学ぶことで、今後の制作に活かせると思います。
それを知っているか、知らないかでは描き方も扱い方も変わりますし、絵の見方も変わってくるのではないでしょうか。
油絵を制作していると、次のような場合があります。
キャンバスがゆがんでいる。きれいな長方形になっていない。壁に飾ったら、それに気が付いた。
キャンバス布にしわが寄ってしまう。
夏場に乾燥して木枠がねじれてしまった。
油絵具がなかなか乾かない。油絵具のくい付き(接着性)が悪い。
表面の光沢感が強すぎて、描きにくい。仕上がりが安っぽく見えてしまう。油絵の表面をマット(つや消し)にしたい。
これらの問題は、キャンバスの制作方法を見直すだけでほとんど解決します。
絵画の構造を科学的な視点で検証しながら、キャンバスづくりの工程を美術部とともに学んでいこう。
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