透析導入までの流れと準備
「透析が必要です」と告げられたとき、多くの方が戸惑いや不安を感じると思います。しかし、慌てる必要はありません。透析導入に向けて、ご自身でできる準備を進めていくことで、安心して治療を始められます。
ここでは、透析導入までの一般的な流れと、その間に知っておきたいこと、準備すべきことを解説します。
1. 透析方法の選択
まず、医師から腎臓の状態や体のことを詳しく聞き、どの透析方法がご自身に合っているか話し合います。
血液透析(HD): 週3回の通院治療。
腹膜透析(PD): 自宅で行う治療。
それぞれのメリットやデメリットを理解し、ご自身のライフスタイルや希望に合わせて選択しましょう。医師、看護師、医療ソーシャルワーカーが、皆さまの意思決定をサポートします。
透析医療の種類については「透析治療の選択肢」をご参考にしてください。当クリニックは外来血液透析専門の施設です。
2. シャント作成(血液透析の場合)
血液透析を行うには、スムーズに血液の出し入れができるように、腕の血管に「シャント」という特別な血管を作る手術が必要です。
手術の時期: 透析導入の1〜2ヶ月前に行うのが一般的です。
手術について: 腕の動脈と静脈をつなぎ合わせる簡単な手術です。通常、局所麻酔で行い、手術後すぐに帰宅できます。シャントが安定するまで、2週間から1ヶ月程度かかります。
シャントの管理: 手術後はシャント部分を清潔に保ち、日頃からシャントの音(血流音)を確認するなどの自己管理が必要です。
3. カテーテル挿入(腹膜透析の場合)
腹膜透析を行うには、透析液の出し入れをするためのカテーテルをお腹に埋め込む手術が必要です。
手術の時期: 透析導入の2週間〜1ヶ月前に行うのが一般的です。
手術について: カテーテルを腹腔内に挿入する簡単な手術です。手術後、カテーテルが安定するまで入院が必要な場合もあります。
カテーテルの管理: 感染症を防ぐため、カテーテル出口部を常に清潔に保つ自己管理が非常に重要です。
4. 食事・水分制限の練習
透析では、食事や水分摂取の自己管理が大切になります。
カリウム: 腎臓の機能が低下すると、カリウムが体内に溜まりやすくなります。カリウムを多く含む食品(果物、野菜など)の摂り方について管理栄養士などの医療スタッフから指導を受けます。
リン: リンを多く含む食品(乳製品、加工食品など)の摂取量を調整します。
塩分・水分: むくみや血圧の上昇を防ぐため、塩分を控えるとともに、水分摂取量をコントロールする練習が必要です。
当クリニックでは、透析導入が咲花病院の入院で行われた場合、入院中に看護師や管理栄養士より毎日の生活についてのお話をさせていただいております。当クリニックでも適宜、食事や水分の制限について透析を実施しながらお話をさせていただいております。
5. 医療費助成制度の申請
透析治療は、特定疾病として医療費の公的助成制度を利用できます。
特定疾病療養受給者証: 申請し交付を受けることで、医療機関の窓口負担が軽減されます。
身体障害者手帳: 腎臓機能の障害で透析治療を受けている場合、身体障害者手帳の交付対象となります。手帳を取得すると、公共交通機関の割引など、さまざまなサービスが受けられます。
透析導入が決まったら、早めに申請手続きを進めましょう。
参考文献・関連リンク
日本腎臓学会
日本透析医学会
日本腹膜透析研究会