2025年11月7日
ロリー・ギャラガーのアイコンともなっていた61年型ストラトキャスター。2024年10月17日、ロンドンで開催されたオークションでアイルランドの企業が70万ポンドで落札し、直後にアイルランド国立博物館への寄贈が表明されたことは、既にご存じかと思います。その後1年間の準備を経て、ダブリン市内のアイルランド国立博物館コリンズ・バラック分館 (National Museum of Ireland, Collins Barracks) に新設された「変化するアイルランド」という展示ギャラリー (Changing Ireland Galleries) で、2025年10月16日から一般公開が始まりました。
以下はアイルランド国立博物館ウェブサイト から Changing Ireland Galleries についての記述翻訳です。
ここでは、過去150年間のアイルランドの変遷に貢献した、日常的な物から特別な物まで、様々な物品を展示します。女性参政権を求めたハンナ・シーヒー・スケフィントン(1877-1946)の旗、ジェイムズ・コノリー(1868-1916)がイースター蜂起で被った帽子など。そして、世界的に有名なギタリスト、ロリー・ギャラガーの1961年製フェンダー・ストラトキャスター、元アイルランド大統領(1990-97在任)で先駆的な人権活動家メアリー・ロビンソンのために、ルイーズ・ケネディがデザインした大統領就任式用スーツなど、新たに収蔵された品々をご覧いただけます。
www.museum.ie/en-IE/Museums/Decorative-Arts-History/Exhibitions/changingIreland
ダブリンに行く機会があれば訪れるべき場所が、これでひとつ増えました。
Donal Gallagher, brother of Rory Gallagher, whose iconic Fender Stratocaster (1961) is on display in the Changing Ireland galleries at the National Museum of Ireland, Collins Barracks.
アイルランド国立博物館コリンズ・バラック分館に新設された「Changing Ireland Galleries」にて、2025年10月16日から展示されるロリーの1961年型ストラトキャスターを見る 実弟のドナル・ギャラガー氏。(同博物館ウェブサイトより)
Lauren Alex O'Hagan & Rayne Morales, Rory Gallagher: The Later Years, Wymer Publishing, UK, 2024
2024年10月28日
英国で2024年10月に発行された、全408ページ(うち32ページがモノクロ写真のページ)の分厚い英語書籍。著者は視覚文化と物質文化を専門とする社会言語学者。
1980年代後半以降1995年までのロリーの音楽活動、およびロリー没後の各方面での動向と現象について、1970年代から現在に至るまでの膨大な記事、印刷物、映像資料、ウェブ上のファンサイトやブログ等からの細かな資料の発掘と、SNSやインタビューにより知られざるエピソードや新たな証言を広く集め、詳細に調べ上げ、影となっていた面にも光を当てた内容。
「Part 2.5 The Vasco Da Gama of Rock: The Final World Tour (1991)」という項には、ロリーが日本に対して特別の思いを持っていたこと、1991年ロリー最後の来日、そして日本のトリビュートバンドと当トリビュート・フェスティバル(ロリーフェス、2010年~)についても、7ページが充てられています(書籍全体の2パーセント弱ではありますが)。
当ロリーフェスにほぼ毎回出演のトリビュートバンドO.E. Gallagherのギタリスト大井貴之さん、やはりロリーフェスではいつもセッションにゲスト参加してくださるギタリストDannie Good(谷口)さん、そしてロリーフェス実行委員グループの一員として初回から関わったマンザキは、2024年の前半に著者からメールとメッセージアプリを介してそれぞれ直接のインタビューを受け、翻訳アプリの助けを借りてもなお英語に四苦八苦しながら回答しました。その回答が本文に反映され(編集方針や著者の意図に沿って回答から割愛された部分もありますが)、過去に出版されたどの“ロリー本”よりも、日本のロリーファンについて血がかよった記述となり、英語で全世界に向けて出版してもらえたのは、ありがたいことです。
アマゾンで注文することができます。マンザキは英国のアマゾンに予約注文して発売日から3週間以上遅れて自宅に届いたのですが、その後Kindle(アマゾンの電子書籍)でも1250円で即時購入できることがわかりました。ただしKindle版には写真のページと裏表紙の画像がありません。
2024年10月18日 追記
ロリー・ギャラガーの1961年型ストラトキャスターは、70万ポンドで落札され、アイルランド国立博物館への寄贈の見通しとなりました。以下はBBCニュースサイトの速報(英語)です。
2024年10月3日 追記
ロリー・ギャラガーの1961年型ストラトキャスター、その他のギターや機材の全てが、10月17日、ロンドンのオークション会社ボーナムズでオークションにかけられます。
ボーナムズのウェブサイトで、オークション・カタログを閲覧することができます。
https://www.bonhams.com/auction/30318/the-rory-gallagher-collection/
2024年7月17日
ロリー・ギャラガーの1961年型ストラトキャスターがこの10月にロンドンのオークションで売りに出されるというニュースで、私達ロリーファンの間には大きな衝撃が走りました。
いったい誰が落札するのか、落札価格はどこまで行くのか……そのようなことは私達には全く予測がつかず、ましてコントロールできるものでもありません。
ただ私達が願うことは、このギターが博物館のガラスケースの中で古代遺物のように保存展示されるよりも、メンテナンスを続けることのできる人々の元で管理されながら、トリビュート・フェスティバル等の機会にはロリーを愛するギタリスト達の手で奏でられ、音を鳴らし、楽器としての天寿を全うしてほしいということです。
2024年、ロリーフェスは開催休止でした。その代わりと言いましょうか、ロリーの初来日50周年を記念して、1974年1月27日 名古屋市公会堂、セットリスト最後の曲「In Your Town」のライブ音源を、18分超のフルバージョンで、ロリーフェスYouTubeチャンネルにアップロードしました。長尺ですがぜひ最後までお聴きください。後半の名古屋オーディエンスのノリ、ロリーとともに会場一体となった最後の盛り上がりが素晴らしいです。お楽しみいただければ幸いです。
ロリー・ギャラガー Rory Gallagher は、1948年3月2日、アイルランド北西部の小さな町バリーシャノンに生まれ、南部の中都市コークで育ちました。トレードマークとなった塗装の剥げたストラトキャスターを手に、1960年代から90年代前半までバンドとともに世界中を飛び回った彼は、圧倒的な迫力のライブパフォーマンスで一般の音楽ファンのみならず、同業のミュージシャンたちからも熱烈に支持されてきました。3人組のバンド「テイスト」として4枚、独り立ちしてからは14枚のオリジナル・アルバムをリリースし、数多くのフェスティバルにも出演してきましたが、肝臓移植に伴う合併症で1995年6月14日、47歳の若さで他界してしまいました。コーク市近郊の教会で執り行われた葬儀には大勢のミュージシャンやファンが世界中から駆けつけ、哀しみの中、彼は郊外の墓地に埋葬されました。
ロリーが亡くなってから28年が経ちますが、今でもその音楽と飾らない人柄とがファンの心を捉えて離さず、故郷アイルランドをはじめとした世界各地でロリーを偲ぶトリビュート・イベントが定期的に開催されています。日本でもファンサイトの管理人たちが中心となって、2010年秋に第1回ロリー・ギャラガー トリビュート・フェスティバル(愛称 ロリーフェス)を開催。出演バンドの素晴らしい演奏と毎回多くのご来場者で盛り上がり、FacebookやYouTubeを介して、また『Rory Gallagher | The Official Website』公認のイベントとして世界中のロリーファンに認知されるようになりました。
1974年、75年、77年、そして1991年と生涯に4度来日し、計24回ものライブコンサートを日本各地でおこなったロリーを慕うファンは多く、「〇年の来日公演を見た」という方々がこのロリーフェスにも毎回いらっしゃいます。また、「ロリー・ギャラガーは僕のギターヒーローでした」、「自分が10代の頃に初めて人前で演奏したのがロリーの曲だった」といったお話を、ロック/ブルースのジャンルを問わず現在活躍中のギタリストの方々からお聞きするたび、いかにロリーの魅力と音楽的な影響が大きいかをあらためて知るのです。
私たちはこれからも日本でロリー・ギャラガー トリビュート・フェスティバルの開催を継続していくことで、ロリーの音楽に敬意を表し、感謝の気持ちを伝えていきたいと思います。昔からのファンはもちろん、最近ロリーの音楽を聴き始めたばかりという方もぜひご来場ください。一緒にロリーの音楽を楽しみましょう。
主催:ロリー・ギャラガー トリビュート・フェスティバル実行委員会
Special thanks to Daniel Gallagher and
Rory Gallagher | The Official Website (www.rorygallagher.com)
ポスター画像をクリックすれば、各年のアルバムページを閲覧いただけます。