Unityでフライトシム

飛行機のセッティングあれこれ

※かきかけ

(最終更新:24/5/9)

物理演算で飛行機シムをやろうとすると、翼の他にも機体のさまざまなセッティングがバランスに関わってきます。

前の項までで説明した内容と一部かぶっていますが、飛行機のいろいろなあれこれについて、自分なりの忘備録も兼ねてまとめています。


※以下はネット情報で検索したとかChatGPTに聞いたとかレベルの大雑把な理解が混じっています。

 航空力学の専門家でも何でもないので普通に間違ってる可能性があります

翼と揚力

揚力バランス

翼は失速角以前であれば、迎角が大きいほど揚力も大きくなります。

ということは、機体に翼を取り付けるときに最初から角度を持って取り付けておけば、基本姿勢で生み出せる揚力を加減できるはず。

そんなわけで飛行機の翼はあらかじめ角度を持って取り付けられていることもあります。


平均的な民間飛行機の場合、基本的には主翼は正の迎角、尾翼は負の迎角を持って取り付けられていることが多いようです(①の型)。

① 重心が主翼の揚力よりも前にあるパターン

重心が主翼の揚力より前にある場合。
主翼の揚力を中心として重力尾翼がシーソーをしているような感じになります。

② 重心が主翼の揚力よりも後ろにあるパターン

重心が主翼の揚力より後ろにある場合もあるようです。

こっちは重力を中心として主翼尾翼がシーソーしている感じ

ただ、実際には①のように重心が主翼の空力中心より前にある場合でも、②のように尾翼にプラスの取り付け角がついていることがあるようです。

それは主翼が揚力を作り出す結果として吹きおろしという空気の流れが生じ、取り付け角はプラスでも最終的な気流の流れの中では負の迎角をもつからです。

重心が主翼の揚力よりも前にあるのに尾翼がプラスの取り付け角を持つパターン

これだと尾翼も正の揚力を生み出して、前につんのめってしまいそうですが・・・

実は気流基準でみるとちゃんと負の揚力を生み出している

ということらしいです

他の翼が作り出す気流の偏向まで計算に加えて迎角を計算するというのはなかなか面倒なので、簡単なシミュレーションでは①②のパターンさえ押さえておけば機体の翼の位置や重心バランスを決める上で参考になるのではないかと思います。

翼のねじり下げ

翼断面は迎角が大きいほど大きな揚力を生み出しますが、ある一定の角度(失速角)を超えると翼から気流がはがれて失速してしまいます。

特に、翼端が失速してしまうと飛行機が一気にバランスを崩してしまうので危ないらしいです

「翼端失速」と呼ばれますいきなり ひっくり返ったりして やばいらしい。

そのため主翼は、翼端に行くにつれて翼根よりも浅い角度にしていって失速角に届きづらくしてあるようです。

これをねじり下げ(Wash-out)といいます。

ねじり下げされた翼端についたミサイルがちょっと下を向いてる例

画像:Wikipeadia WashOut(aeronautics)より

仮に翼端が翼根に比べて3度ねじり下げされているとすると、

単純計算ではこのように、翼根が失速してから翼端が失速するまで3度分の余裕ができます。

こうすれば翼根側の方が先に失速角に入るので、失速が起きても機体はバランスを保ちやすくなります。

「翼のシンプルな実装」の項では翼全体を一塊に扱っていましたが、こうした翼根⇔翼端の断面角度の違いなどをシミュレーションする場合、翼全体に1つの取り付け角パラメータを与えるだけでは不十分なので、一般的にフライトシミュレーターでは翼を短冊状に分け、個々の部分で別個に迎角などを計算していることが多いです。

水平尾翼

モーメントの計算式は

モーメント = 力の強さ × 作用点までの距離

(作用点までの距離はモーメントアームとも言います)

なっているのですが、力の発生している点が遠いほど大きなトルクが生まれます。工具のレンチが長い柄を持っているのと似ていますね。

この理由から、尾翼は重心から離れているほど効果が高くなります。

(24/3/24 ここは当初「主翼との距離」と書いてたのですが、実際には重心との距離らしいので訂正しました)

トリム

重心はあまり変わらないのに対して、翼が生み出す揚力やモーメントは飛行機の速度で簡単に変わってしまいます。

例えば尾翼の生み出すモーメントは、低速飛行に合わせた翼の状態のまま飛行機のスピードが上がっていくと、過大になって飛行機は上に飛んで行ってしまいます。

そこで使われるのがトリムというやつで、動翼の偏向角を調整したり、水平尾翼の取り付け角自体が可動式になっている飛行機があったりします。

飛行中にそれらの基本角度を変えることで、速度が上がっても尾翼の生み出す力が過大にならないよう調整しているわけですね。

翼単体の

翼単体のモーメント

尾翼が機体にモーメントを生み出すのは前述の通りです。しかし機体全体に生み出すモーメントとは別に、動翼は翼単体で見てもモーメントを持っています。

Unityに馴染みのある表現で言えば、翼ローカルなモーメントと、機体全体のグローバルなモーメントがあるという感じです。

キャンバーラインは翼断面の真ん中を貫く線です。

キャンバー(というかたぶん翼上面のカーブ)がきつい場所ほどベルヌーイの定理か何かで流速が速くなって

圧力が低くなり、揚力もその部分で大きくなる傾向があるようです。

そして翼に取り付けられた動翼を偏向させることは翼のキャンバーを変化させることと同じなので、これと同じ効果が生まれるはず。

フラップ(エルロン)が生み出す回転モーメント

後ろが持ち上がりたくなるので前転モーメントが強くなる

スラットが生み出す回転モーメント

前が持ち上がりたくなるので後転モーメントが強くなる

※図は適当です(とりあえず風圧中心(≒揚力)が前に偏ったり後ろに偏ったりするらしい的な図解)

細い翼の翼端などはこの「回ろうとする力」が翼のねじれを生んでしまい、エルロンリバーサルのような悪影響をもたらすことがあります

全体としてはこのようにいろいろな力やモーメントが働いていて、色々複雑です。


Unityで物理演算を使う場合には、

① パーツが胴体と翼などにうまく分けられている

② 各パーツのコライダーや重心設定がちゃんとしてる

③ 各部位が生み出す力を正しい位置にAddForceできている

などの点がちゃんとしていればPhysXが自動的にモーメントを統合してくれます。

(Unityの物理演算に関しては物理演算の注意点などについて軽くまとめたページもあります。)

重心とか

重心位置

飛行機のシミュレーションは、重心位置がとても重要になってきます。いくら翼や胴体の設定が正しくても、重心位置がおかしいとまっすぐ飛ぶこともできません。普通の飛行機の場合、胴体の重心位置は(まず正面から見て左右にずれていないこと前提ですが)前後位置としては主翼の前寄りあたりにあるのが典型的です。

重心が前過ぎる場合

重心が後ろ過ぎる場合

空力平均翼弦(MAC)

こうした重心位置を決めるときに重要になるのが「空力平均翼弦(MAC=mean aerodynamic chord)」と呼ばれるもので、主翼の翼弦の中で代表的な翼弦を一個決め、それが重心とかを決めるときの基準とかにも関係しているっぽいです。

この範囲を0~100とした場合、前から15%~35%の範囲に重心があることが多いようです。

完全な矩形翼であれば、上の図のように翼の弦長(翼弦)がそのまま空力平均翼弦になりますが

テーパー翼や後退角を持った翼の場合は以下のようにすれば図上で求まります。

① 主翼を上から見たときの翼根と翼端の長さ

翼根の弦長を翼端の前後に足した先と、翼端の弦長を翼根の前後に足した先を直線で結びます(黄線)

③ 2つの黄線が交わったところの翼弦がMAC。