【変化するマネジメント】

1.標準時間について

1.標準時間について

    a.標準時間とは 

    標準時間は、対象の作業において、良く慣れた(習熟した)作業者が、与えられた設備(やツール)により定められた適切な作業方法で、求められる品質の製品を生産するために、疲れを翌日に残さない通常のペースで作業を遂行した場合の一単位当たりの作業時間です。

    つまり、標準時間は、適切な作業方法(標準作業方法)と通常のペースの二つのポイントがあります。このポイントを順守するために、作業分析により標準作業方法を担保し、レイティングにより通常のペースを担保します。

    標準時間を設定する目的(意図)は、各職場の作業者を始め管理・監督者の活動に対する努力を正当に(公平に)評価するためです。

    例えば、契約単価をベースにした損益による評価は、製品ごとに契約交渉による着地点がばらつくため、絶対的な基準とすることは出来ないが、標準時間をベースとする標準原価は、単価交渉ならびに損益管理にとって有効な基準となり得ます。

    b.標準時間の教科書的な構成要素 

    標準時間は、正味時間と余裕時間で構成されます。正味時間は、付加価値を生むために直接的に行われる作業(正味作業)に割り当てられる時間です。余裕時間は、現状の作業環境において、正味作業を遂行する上で必要になる時間です。

余裕時間には、以下のようなものがあります。

    職場余裕 : 使用した工具などの整理整頓に割り当てられる時間

    作業余裕 : 作業場の清掃や身支度等に割り当てられる時間

    疲労余裕 : 職場環境により作業者の疲労への影響に応じて割り当てられる時間

                      重作業30%、中作業20%、軽作業10%:法的にも最低限の決まりあり)で、

                     一般的に休憩時間として提供 される時間です。

    用達余裕 : 職場環境の状態に応じて、疲労余裕以外に、水飲みや汗ぬぐい、用便など

                     がランダムに必要と思われるときに与えられる時間

    c.標準時間の余裕率(時間)の必要性 

    人の生産性評価や単価に占める人件費の設定などに、標準時間がベースとなることは言うまでもありません。

    そこで、現在の製造現場に目を向けると、一日の就業時間の中は、段取り時間やトラブル対応時間を除けば、概ね右側の図のような構成になっているとことが多いのではないでしょうか。

    これは、曖昧であった余裕時間というものが、具体的に定義され与えられるようになったということです。よって、教科書的な余裕時間の必要性を考える必要が出てきたことになります。

    つまり、今日の標準時間は使う場面によって、適切な構成内容を考えて用いなければならないということです。

    例えば、生産ラインの作業パフォーマンス(出来高)を管理するなら正味時間だけの標準時間を使い、標準原価を決めるときは余裕時間をすべて含めた標準時間を用いるというようにです。

問合せ先 : リッチマネジメントシステム有限会社 (担当 尾嶋)

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