● 2025年 優秀作品・福岡市科学館賞
▶︎ 作品名
水中の管理者「EBIS(えびす)」
▶︎ チーム名
TLTS(宮崎大学)
▶︎ コンセプト
海洋国家の日本で盛んな水産養殖業は人手不足が深刻で、危険な水中作業の自動化が急務です。本提案は、この課題を解決する生物模倣ロボット「EBIS」です。最大の特徴は、エビを模倣した推進機構です。プロペラを持たない遊泳脚は、生物への接触傷害リスクを無くし、対象にストレスを与えず接近できます。尾部も利用し、複雑な生け簀内で高い機動性を実現しました。
第二の注目点は「交換式多機能アーム」です。「点検」と「清掃」の多様な任務に対応するため、先端アタッチメントを交換可能としました。カメラや距離センサによる網の点検から、掴む(異物除去)、ブラシ、スクレーパー、吸引(残餌除去)といった物理作業まで、この一台で完結できます。この生物模倣による機動性とアームの多機能性が、水中作業の効率化を実現し、スマート水産業に貢献します。
▶︎ メンバー
●徳野 叶人(宮崎大学工学部工学科4年)
竹下 千喜(宮崎大学大学院工学研究科2年)
椎木 孝成(宮崎大学大学院工学研究科1年)
● 二次審査講評
■ 審査委員長
筬島 修(一般社団法人 ツール・ド・九州)
水産養殖業に着目し、危険な水中作業の自動化を目指したアイデアでしたが、エビをモチーフにしたデザインや、動作をシミュレーションした解析など、見た目も実現性も評価の高いものでした。光と音の通信がもう少しイメージできるとなおよいものになると思いました。
■ 審査委員
田中 久生(福岡市科学館 サイエンスコミュニケーター)
水産業の定義や内容の解説、そこから導き出されている問題点について、簡潔にまとめるだけでなく、非常に伝わりやすかったです。ですので、ロボットの必要性をより感じることができました。
エビの遊泳についてはイメージしにくかったですが、そこをしっかりと動画で解説されていましたので、より興味を持つことができました。さらに、問題点もしっかりと考えられており、続けていきたいという想いが伝わりました。
バイオミメティクスの観点、面白かったです。
■ 審査委員
加藤 優(元自動車会社デザイナー)
水中で活躍するロボットなので潜水艦や水中ドローンのようなスクリューによる推進を思い浮かべるところに、水中でのエビの機動力に着目してその構造を本ロボットに必要な推進力/ホバリング能力に応用した点が最大のアイデアですね。モックアップでは除去すべき死んだ魚を掴む機能のアームが装着されていましたが、4種類あるアームはその都度作業者が付けかえるということのようなので、必要な機能(作業)と適切なアーム形状についてはさらに細かく分析して、例えば左右で異なる2種類のアームに収斂させるようなアイデアがあったらなと感じました。デザインはまさにエビそのものなので、生簀の掃除に伴う死骸やゴミなどの収容機能などの付加を考慮すると、エビのようでエビでないもっと格好良いデザイン(もちろんえびから影響を受けたであろうことが分かるデザインで、これをメタファー:暗喩と言います)が考えられるのではないでしょうか。プレゼンテーションは説明がわかりやすくて良かったと思います。ただ現状の問題点については、生簀の大きさ、掃除の頻度、収容物の量など現場の実際の問題の大きさが具体的に捉えられてなく、不十分に感じました。優秀賞、おめでとうございました。
■ 審査委員
永里 壮一(メカトラックス株式会社 代表取締役)
・パワーポイントの資料が分かりやすく、良くできている
・背景から課題、問題点への移行がわかりやすい
・エビの遊泳を模倣した推進技術は面白い(巻き込まないなど具体的なメリットもある)
・通信方法も具体的に検討されていて素晴らしい
・用途に応じて、様々なアームを用意している点も具体的で良い(アームごとの具体的な作業の内容などをもう少し詳しく聞きたかった)
・自動給電の誘導も検討されていて良い
■ 審査委員
田名部 徹朗(株式会社 SANMATSU 代表取締役)
優秀賞受賞おめでとうございます。まず、テーマ選定としましては、日本の水産業がもはや養殖抜きでは成り立たず、でも高齢化で後継者がいなくなっていることを課題にした良い選定をされたと思います。技術的にも、エビの遊泳を模倣した推進はなかなか面白い技術だったと思います。また、通信方法、自動給電など実現に向けた課題を丹念に検討・実証されていたことが高く評価されたのだと思います。わかりやすく十分に練られたことが証明できた発表資料も、周りへのPRの大きな武器となった点も付記しておきます。
■ 審査委員
佐藤 和明(小代商工株式会社 取締役 営業部長)
(準備中)