LE8Tといえば、もっとも有名な20cmフルレンジスピーカーの一つでしょう。 オールドファンならば、山水のSP-LE8TやJBLのL44, L75システムあたりを思い出すのではないでしょうか。
おなじJBLの20cmフルレンジでも、このユニットはちょっと様子が違います。紙もアクアプラスの白いコーティングがされていないし、 センターキャップに大きめのダブルコーンが付いています。
これは、LE-8Tの初期型にあたる、LE-8というユニットです。生産年数はわずか2年なので、相当レアなスピーカーユニットです。 音は、LE-8と比べると、はるかに軽快な音です。ランサプラスの分、周波数レンジ等の特性はLE-8Tのほうが優秀なのかもしれませんが、コーン紙が軽い分、LE8Tより反応の良い音を聞かせてくれます。 また、ダブルコーンが上手く動いているようで、高域も聴感上はこちらのほうが伸びているように聞こえます。 LE8Tと比べると、LE8のほうが、WebMasterの好みででした。(WebMasterは、これとは別にLE8T入のシステムL75を所有していました。)
日本語ではダブルコーンと呼びますが、英語ではWhizzer Coneと表現するのが普通です。LE8のWhizzer Coneは、 メタルドームのセンターキャップの上に接着されていて、その質量がセンターキャップの鳴きを抑える働きを 持っているのかもしれません。また、Whizzer Coneの裏側には、スポンジ状の吸音材が張られていて、メインコーンと Whizzer Coneの間の音の反射を抑える工夫がされています。Whizzer Coneのヘリの部分も切りっぱなしではなく 折り曲げるような処理がされていて、Whizzer Coneの音の癖が出ないような処理がされているのがわかります。 相当によく考えられたWhizzer Cone部分と言えるでしょう。
1962年版のJBL社のカタログより抜粋。当時の66ドルは大金です。