キャンバス大陸の中央に存在する機械の塔。赤く染まったその塔からは、いつから続くかもわからない駆動音が鳴り響いている。
この塔は古代魔科学兵器の残骸とされているが詳細は不明。内部構造はおろか何のための装置かも分かっていない。
その赤色は魔力から生まれる瘴気であり、人間にとって有害な物質である。死滅地帯が出来上がった原因もこの塔にあるとされているが、近づく者は瘴気と、瘴気によって狂暴化した”人外”たちの襲撃を潜り抜けねばならない。ただし、近づいたとて入口など存在しないのだが......
終末地帯北西区域。そこは機械生物たちの安住の地である。
かつての戦争によって生み出された者も多いが、現代において製造された”新参者”も最近増えているようだ。多くはメトロマギアでの居住権を持たない失敗作たちか浮浪者、あるいはIMROの手から逃れてきた者である。
なぜここが機械達の地になっているのか。それは人間が住むにはあまりに乏しい大地だからだ。年中乾燥しているため作物は育たず、雨が降っても限られた水分だけで育つ植物は限られている。また、夜間は極度に気温が下がるため、とても快適に住めるような環境ではない。人間からすればただのゴミ棄て場である。だからこそ、人間という邪魔者がいないこの地は機械達から愛されているのだ。幸いにもここは古代兵器が多く放置されたり、魔力量も多い。魔力を動力源とする機械達は何も困らないし、自ら集落をいくつも作り上げてパーツを交換しあったり、さながら人間のようなコミュニティも存在するようだ。
終末地帯北東区域。魔力の瘴気によって完全に汚染された立入厳禁の危険地帯である。一帯が魔晶花によって埋め尽くされ、魔物が闊歩し、空には暗雲が立ち込める。
いつ頃から汚染され始めたのか、具体的には定かではないが、終末戦争の時には既にそうなっていたという説が有力で、歴史を見てもその記述が散見される。
瘴気は人間には毒であり、何の対策もなしに足を踏み入れれば瞬く間に汚染され、精神を侵食される。やがては人間としての自我を失い、過剰魔力による突然変異を起こして異形の怪物へと変化してしまう。中でも「竜」とよばれる高位体は非常に強力で、瘴気そのものを糧とするため簡単に討滅することも出来ない。
メトロマギアと違って瘴気と魔物の浸食を防ぐ防御壁を持たないノブレスでは、これに対抗するための傭兵団が存在する。キャンバス大陸でもっとも屈強であり、野蛮であり、かつ勇敢な者たち。ノブレスは唯一芸術の自由がある都市であり、言うなれば芸術の守護者たる彼ら。しかして、ノブレスは皮肉にもメトロマギア富裕層の観光地という側面も持ち、彼らなりの葛藤が多少なりともあるようだ。
終末地帯南西区域。比較的安定した気候と環境、丘陵から一望すれば青い空と緑の絨毯が広がる豊かな土地。人間や動物、機械生物たちが入り混じって生活している。主に遊牧を主とした原始的な生活スタイルを取ることが多く、狩りや農業によって生業を得ている。
遊牧民との交易や資源採取のために多くの飛行船が飛び交っており、その光景はさながら科学と自然の息吹の調和を象徴しているようにも見える。
ただし、すべてが平和という訳でもなく、魔法生物が闊歩していたりならず者が潜んでいたりと、さながらロールプレイングゲームで始めに踏み出すフィールドのようだ。
終末地帯南東区域。湿潤で恵まれた土地には多くの野生生物や植物が生息し、季節によって全く表情を変える。霊峰「ララスクリウ」が象徴的。
また、高純度の魔力にも満ちた神秘的な土地である。自然由来の魔力は純度が高く、一般の人間であれば魔力酔いを催すため注意が必要である。
魔法を原来とする生物や魔物が多く生息するだけでなく、妖精族の住処もあると言われているが、人間の欲望や濁った魔力に対して抵抗があるのか、滅多に人前に姿を現さない。
山を越えると魔法の国エルニレイムがある。が、エルニレイムの民は外部との接触を拒んでいるため、近づこうとしても魔法の霧によってもと来た道に戻され、空から挑むものは突風と積雲に阻まれる。
ただの人間には知り得ない秘密が多く眠る、隠された大地なのだ。