産業・応用開発
社会の現場で機能する即戦力となる技術を、小さく・速く・深くつくることを目指しています
社会の現場で機能する即戦力となる技術を、小さく・速く・深くつくることを目指しています
私たちは、科学的好奇心と社会的使命感を原動力に、幅広い学術・基礎研究に取り組んでいます。応用技術の開発や社会課題の解決には、現象の本質に迫る根源的な問いと、地道な実験・検証を繰り返す基礎研究が不可欠です。本ページでは、私たりが注力している主要な研究テーマをご紹介します。それぞれの研究は、文化遺産の保全、医療の革新、環境保全など、現代社会の根幹を支える学術領域に貢献しています。
― 古代遺物からのDNA抽出技術の革新 ―
古代の土器や骨などからDNAを抽出する技術(aDNA解析)は、過去の人類の暮らしや環境を復元する強力な手段です。しかし従来の手法では、試料を物理的に削るなどの「破壊」が避けられず、文化財の損傷という課題がありました。私たちは、電気泳動や吸着技術などを応用し、文化財を損なうことなく遺伝子情報を得る「非破壊的分析法」を開発しています。この研究は、文化財の保存と学術研究の両立を目指す画期的な取り組みとして、歴史学・考古学・分子生物学の橋渡しを担います。
― 新たな創薬アプローチを支える分子メカニズムの解明 ―
病気の解明には、特定のタンパク質や酵素といった「分子」の働きが関与しています。私たちは、それらの分子がどのように機能し、どのように制御されているかを、生化学的手法を用いて明らかにしようとしています。特に、これまで治療標的として注目されてこなかった「難標的分子」の作用機構に光を当てることで、従来とは異なる新たな創薬戦略を提案しています。本研究は、基礎から応用への橋渡しとして、創薬のイノベーションを下支えするものと期待しています。
― 早期発見を可能にする、高感度な病気診断技術 ―
病気の予防と早期治療には、発症前のわずかな生体変化を検出する「高感度な診断技術」が欠かせません。私たちは、微量なバイオマーカーや病原体由来の分子を迅速かつ高感度に検出する新しい診断プローブやセンサーの開発に取り組んでいます。これにはナノ材料、分子認識素子、信号増幅技術などを組み合わせた、革新的な分子工学の応用が含まれます。将来的には、がんや感染症、神経疾患などの早期発見に貢献する診断ツールの実用化を目指しています。
― 地球環境を守るための遺伝子(eDNA)解析技術 ―
水や土壌、空気中に存在する微量なDNA(環境DNA, eDNA)を分析することで、生物多様性や環境変化を非侵襲的に把握できる技術が注目されています。私たちは、このeDNA解析の感度・特異性・定量性を高めるための手法開発を進めており、絶滅危惧種のモニタリングや外来種の検出、さらには微生物群集の動態解析など、多様な応用を視野に入れています。この研究は、生態系保全、環境リスク評価、さらには地球規模の持続可能性に寄与する、基礎と実用が融合した領域です。