■検証すること
良秀は、地獄変の絵を描くために、自分の娘が燃やされると分かっていても何もせずに見殺しにしたと見なされることがある。作品においてどのように描かれているのか?
■作品は何といっているのか?
車の中にいる人物が自分の娘だと良秀が知った後を 以下に引用します:
以下に整理します:
以上より、良秀が自分の娘と分かって動き出そうとしてすぐに火がかけられており、大殿は娘の命乞いする暇を良秀に与えていないことが分かる。
そして、上記引用箇所の先頭の1文に着目したい。下記に1文を引用します:
語り手「私」は、侍が良秀に斬りかかる準備をしたことで良秀が動き出したことに気がついている。もし、良秀が車に近づき邪魔しようものならこの侍に斬られていたことが想定される状況である。
■結論
良秀は娘を殺される場面で何もせず見ているだけだったという点だけをとりあげれば見殺しにしたといえる。しかし、侍に阻まれ、何かする間も与えられず、なにもできない状況であった。これを見殺しと表現するのは適切ではない。