田中右紀

田中右紀(たなか ゆうき)先生 

1965年佐賀県生まれ。東京藝術大学大学院修了後、海外での制作活動を経験し、帰国後本格的に窯芸技法での作品制作を始める。現在、佐賀大学芸術地域デザイン学部教授として有田セラミック分野を中心に教鞭を取る傍ら精力的に制作活動も続ける。 


今回は佐賀大学美術館設立委員として、また有田セラミック分野という視点から学部や美術館が歩んだ変遷を聞いた。 

Q1. 美術館が設立される運びとなった詳しい経緯を教えてください  

A. 大学運営の変わり目というきっかけがかなり大きいです。  

当時の美術工芸課程は新聞などの地域のメディアに露出が多くありました。 

そして現学部設立については「芸術学部」の名称で進められていました。  

道州制なんていうアイデアが出たりして、九州では医学部は〇〇大にしましょう、理工学部は〇〇大にしましょうと、地域ごとに大学の特徴づけが考えられていました。その中で、佐賀大学は美術を特徴にしましょうと、という背景で美術館が設立される方向に。ある意味、大学の戦略とも言えますかね。 

  

Q2.有田セラミック分野では SPACE-ARITAなどで海外の学生や研究者、クリエイターの方との交流が活発なイメージがありますが、それらの活動を通して先生自身が感じたことはありますか?  

A. 制作環境だけでなく、創作の考え方も異なる海外の学生らと関わる中で、それまで抱いていた概念が覆されました。そこで気づくギャップが面白いと感じます。  

「あ、違うな」「こういう考え方もあるのか」と自覚させられることによって、新たな問題意識、制作意欲が沸き上がるきっかけにもなります。なかなか味わえない貴重な交流だと思います。  

  

Q3.この学部や有田キャンパスの印象についてどう思いますか? 

A. 以前の学部(文化教育学部)の方が良かったのではという声もありますが、むしろ大学を出てからも通用する表現の追求や、新しい可能性を試すいわゆる「美術を切り開く」ことに方向性が向き、学部全体で良い流れが生まれていると思います。  

現在は、今後の社会や現状を見据えて自分を客観視できる生徒も多いと感じます。  

  

Q4.学部生やこれからこの学部に来る人へのメッセージ  

A.この芸術地域デザイン学部は成熟した学部というより、生徒や教師が一緒に挑戦し模索する、発展過程を強みを持つ学部と言えるのではないでしょうか。