自主的な作品発表の場を求める学生たちが多い中、石橋美術館(現久留米美術館)が誕生したことをきっかけに、1957年の11月1日~10日に佐大美術・工芸教室の学生を総動員し、「第1回総合展」が開催されました。以来、毎年のように会場を開拓して巡回し、その後佐賀県立博物館・美術館に拠点を移しながら開催されてきました。開催にあたって学生たちは、佐賀県とその他の開催県の教育委員会や地元メディアの後授を受け、開催資金を補うために出品目録に広告を取り付けるなど「運営面」にも努めました。当時、今とは比較にならないほど高額な印刷費用を含めた数十万円の予算を工面することに成功しました。教員側も成果を認め、会場費や運送費などの経費を一部公費負担としました。教育効果を上げながら、学生の自主性を尊重する姿勢は、創設以来続けられています。
最近では、SNSやインターネットでの手軽な発表が増えたことで総合展への出品率は激減しました。また、オンライン授業の増加などにより他学年の学生同士の交流も減っており、そういった学生は総合展の情報を得ることが難しく、余計に参加のハードルが高まっているのが現状です。
しかしアンケートを取った結果、8割近くの学生が総合展を「必要」と考えているという結果が得られました。伝統として続けられてきた総合展ですが、現在の学生の声を受けてその在り方を再考する時期が来たのかもしれません。
●1953年 昭和28年 特設美術科設置
1959年 昭和34年 専攻科設置
1961年 昭和36年 美術棟・工芸棟竣工
1967年 昭和42年 大学紛争
1981年 昭和56年 新美術棟竣工
1988年 昭和63年 新工芸棟竣工
1989年 平成元年 総合文化課程設置
1993年 平成5年 大学院設置
1997年 平成9年 文化教育学部へ改組