実践レポート②

アドバイジングの背景

Dさんは理系の研究者として日本の大学で働いています。来日してすぐの2011年に半年だけ日本語のクラスを受けましたが、それ以降勉強する機会がなく、研究室では英語しか使っていないので日本語を勉強したいとのことでした。地域のボランティア教室のコーディネーターをしていた筆者がアドバイザーとして、学習計画に関わりました。

概要

アドバイジングセッションは計2回、対面で行いました。1回目のセッションで、Dさんが筆者がコーディネーターを務めるボランティア教室に来ることを決めたため、その後は毎週教室でボランティアと活動する様子を見て、活動後にどのようなことをしたかを聞くという状況が5週間続きました。

Dさんの日本語学習における目標

普段、英語ができる医師のいる病院に行くので診察室では不自由しないが、受付の人は英語ができないことが多い。予約変更や予約を取るための電話をする時に使える日本語が知りたい。

②研究室で日本語を聞いてわかることはあるが、どう返事をしたらいいかわからないことが多いため、反応できるようになりたい。

自分より後から日本に来たインドネシア人の日本の生活を助けたいと思う(助けてとよく言われる)ものの、自分も日本語があまりできないため、上手になりたい。(引越しの手続き、ガスや電気などの契約関係)

Advisor's Reflection

  • Dさんから学習の目的と目標を聞く時に、具体的にどのような場面で話す日本語が必要か、日本語で困難を感じる時はいつか、を聞いて場面を細かく話してもらったことで、「日本語ができるようになりたい」という漠然とした目標が「病院の受付の人と話す練習がしたい」と明確なものに変わりました。

  • 日本語で話す場所のひとつとして、ボランティア教室を紹介した後、病気や身体の部位の語彙、表現が出てくる教科書を使い、ボランティアと日本語学習をすることに決まりました。

  • 引越しの手続き、ガスや電気などの契約については、ボランティアに相談したところ、市のサービスで多言語での相談を受け付けている窓口を知り、Dさん自身が通訳をするのではなく繋ぐ役割をすることにしました。

  • アドバイジングセッションを通じて、Dさんにとって優先順位の高いものや、実現可能な方法が明確になっていく様子がうかがえました。