実践レポート①

日本の大学に交換留学生として在籍するイギリス出身Rさんのアドバイジングをしました。

アドバイジングの背景

Rさんは日本の大学に1年間在籍し、日本文化や日本語を学んでいました授業の傍らRさんは日本にいる間に日本語能力試験(J L P T)を受験したいと考えていました。しかし、どの級を受けるか、どのように学習を進めていけば良いかがわからず、筆者に相談することにしました。

概要

アドバイジングセッションは計3回、対面で行いました。

1回目のセッションでは、RさんがJLPTを受けたいと思っている理由や受けたい級、自分の今の勉強方法、問題に思っているところなどを聞きました。Rさんは母校の大学で求められるJLPT3級を受けるか、2級に挑戦するか迷っていました。本当はそれまでの約半年間の留学で日本語能力が高められたと感じていたことから、2級に挑戦してみたいと考えていました。級については母校の先生にも確認することにし、ひとまず、2級を目指す計画で、試験までの学習期間を一緒に確認し、学習計画と方法を確認しました。

Rさんにはすでに自分なりの日本語学習の方法があり、計画的にそのやり方を実行していることがわかったので、Rさんがすでに行っているやり方で、進めることになりました。1回目のアドバイジングの時点で、Rさんは文法が苦手だと感じていたので、現在の文法の学習方法について聞き、 いくつかリソースを紹介し、実際に手に取ってやってみるリソース決めました。

2回目と3回目のアドバイジングは、あらかじめいつ行うかどのような頻度で何回くらい行うかは決めず、Rさんから相談があった時に行いました。2回目のアドバイジングはRさんが母校の先生とも相談してJLPT2級を受けることに決めた後に行いました。3回目のアドバイジングは試験の1か月ほど前に行いました。

Rさんからの質問

・どの級を受けるべきか。

・効果的な文法問題の勉強の仕方

・読解問題のおすすめの本は

・試験直前の勉強

Advisor's Reflection

  • 自分の学習は本人が一番よくわかっているとの考えから、Rさんから質問された際、私は直接意見は言わず、Rさん自身に答えを出してもらうよう心がけました。しかし、1回目のアドバイジングでは、Rさんは私の教師としての明確なアドバイス」を欲しがっているようだったので、ちょっと物足りなかったかなと思いました。

  • Rさんには、自分の学習の仕方がすでにありそのやり方で満足しているけれども、私にそのやり方を後押ししてほしいと思っているように感じたところもありました。あるいは、自分のやり方に加え、別の新しいやり方も聞きたかったかもしれないなと思いました。

  • Rさんは順調にJLPTの試験対策を進め、留学中に見事にJLPT2級に合格しました。苦手だった読解もかなりの高得点が取れたそうです。

Rさんはすでに自分自身が使える学習時間や学習リソースを考慮して、計画的に自分にあった方法で学習を進めていました。Rさんがアドバイザーとしての私に求めていたものは、学習方法が今自分が行っているものでいいのかを自分自身で確認し、専門家からの意見や励ましをもらうことだったのではないかと思います。また、すでに、多くの学習リソースを持っていて、日本にいることを最大限に活用していたRさんですが、アドバイザーからのリソースの提案が少しだけ学習のレパートリーを増やすことにも役に立ったかもしれません。