【日本の教育現場での応用の可能性】
言語教育を行う教師と言語学習アドバイザーの役割は異なります。
本来であれば、アドバイジングのためだけに、アドバイジングセッションの時間を設けます。しかし、それができなかったとしても、教師がアドバイジングの発想を日々の実践に取り入れ、ことばと生活について生徒に問いかけ、ともに考える時間を作ることは重要であるといえます。
こちらの文章で紹介されている学校ではアドバイジングの実践が行われているわけではありません。基本的には、日本語の教科書に沿った学習活動が行われています。
しかし、日本語の教科書を用いて日本語を学ぶだけではなく、一人ひとりの生徒がどのような言葉を必要としているのか、日本においてどのような生活をしていきたいか、そのようなやり取りが、生徒が表現しやすい方法を用いて行われています。外国人生徒たちが、教師の工夫のもと「自分の思い」を伝え、さらに教室の外でも「自分の思い」を伝えるにはどうしたらいいのかを教師とともに考える場面が描かれています。
アドバイジングはティーチングとは、異なりますが、教えるという活動をする際にもアドバイジング的な発想を取り入れることで、実践に変化が生まれる可能性があります。この文章は、日常の実践の中に学習者の声を聴く時間を設けることが重要なのではないかという示唆を与えてくれます。