Jo Mynard (2017) The Role of Advising in Developing an Awareness of Learning Processes: Three Case Studies.(学習プロセスに対する気づきを高めるアドバイジングの役割:3つのケーススタディーから)言語教育研究, 123-161

この論文では、神田外国語大学のセルフアクセスセンター(SALC)が提供する、一対一の言語学習アドバイジングを含むモジュールに沿って自己主導型学習(Self-directed learning: 以下、SDL)を行った3名の英語学習者の質的ケーススタディーから、SDLを通して①学習者の英語学習に対する気づきとコントロールが高められたか、②英語能力が高められたかを検討しています。

【結果】

この論文では、サラ、エミ、ヤスという3人の英語学習者がどのような目標を立て、アドバイザーとやり取りをしながらSDLを行っていったかが記述されています。3名の学習者の概要を以下の表にまとめます。

調査の結果、3名はSDLにより英語学習に対する気づきとコントロールを高めていたことがわかりました。そして、それにはモジュールによって提供される構造、書面によるアドバイジングの対話、個別のアドバイジングセッションが要因となっていたと述べられています。

アドバイジングは動機の維持と思考を深めるのに役立ち、良い学習方法を見つけるのに役立っていました。また、3名は最初に立てた目標を達成したと言っていっていました。

この研究から、アドバイジングが学習者にとって自律的な学習を管理する効果的な方法であり、学習アドバイザーがその過程で重要な役割を持っていることを示唆しているとしています。

【感想】この論文ではアドバイザーが直接的/非直接的なスタンスでアドバイジングをしたケースが示されていました。アドバイザーがどの程度直接的なスタンスを取るかはアドバイジングを行っていくプロセスで学習者をよく見ながら、変えていくべきだと思いました。