Gardner & Miller (1999)

タイトルを邦訳すると「セルフアクセスの設立:理論から実践まで」となる本で、1999年に出版されました。三部構成、第一部は理論的視点、第二部は実践的視点、第三部は事例研究です。

教師主導型から自律的な学習者になるための一般的な方法として、self-directed learning(自己主導型学習※)、self-instruction(独習)、independent learning(自律学習)、self-access learning(セルフアクセスラーニング)があるとし、それぞれのアプローチは、学習者が個人の言語学習の目標を設定し、自律的に行うのを促進すると述べています。

 セルフアクセスに必要なものとして、リソース(教材など)、人、マネジメント、システム、個々の違い、ニーズ分析、学習者の振返り、カウンセリング、スタッフトレーニング、評価、教材開発などが挙げられています。

 三部を通してセルフアクセスとは何かという学術的な研究背景の説明、学習者オートノミーとの関係、セルフアクセスのタイプ、セルフアクセスセンターなどの施設の運営、教材、活動、物理的な配置、などについて詳しく書かれている本です

※( )内はすべて筆者訳:邦訳については、研究者や分野によって異なります。

【感想】自律的な言語学習についての議論を踏まえて、セルフアクセスとは何か、どのように運営するか、などが詳しく書かれており、セルフアクセスに関わる人にとってとても参考になる本だと言えます。しかし、この約20年で言語学習の環境は大きく変わりました。セルフアクセスとは何か、という定義や理論を引継ぎつつ、実践の場はこれから変化していくことが予想され、更なる事例研究と議論が必要になるでしょう。