脇坂 真彩子

WAKISAKA Masako

これまで、日本の大学や専門学校、地域の日本語ボランティア教室等で日本語教育に携わってきました。日本語学習・使用を通して学習者一人ひとりが世界を広げられるようサポートしたいと思っています。現在は九州大学留学生センターで働いています。

専門は日本語教育、タンデム学習(face-to-face Tandem eTandem)、動機づけ

アドバイジングが必要だと思う理由

0. 日本語学習の意味一人ひとり違うから

学習者自身が自分で学習目標を決め、学習計画を立て、自分の学習について振り返りながら学習を進めていく方法を、自己主導型学習(self-directed learning)と言います。言語学習アドバイジングは、自己主導型学習をうまく進めていくための対話によるサポートです。

一つ目の理由は、言語学習アドバイジングが必要な理由ではなく、その前提となる自己主導型学習が必要な理由を書きたいと思います。

日本語を学ぶ意義は学習者一人ひとり違いますし、学習者が日本語ができるようになったら何をしたいのかも様々だと思います。ですから、一人ひとりが、自分の学習目標を立てることが大切です。

また、たとえば、一見、同じ学習目標をもつように見える学習者でも、具体的に考えてみるとそれが意味するところは違うかもしれませんし、学習者の好む学習スタイルや、学習に使える時間、どのような学習リソースをその人が持っているかはそれぞれの学習者によって異なります。ですから、学習者自身が自分が置かれている状況を考慮して学習計画を立て、自分に合った方法、ペースで学習を進めていくことが大切だと思います。




  1. 対話を通して、学習者が自分の学習目標を明確化できるから

「学習目標は?」と尋ねると、「日常会話ができるようになりたい」とか「日本語がペラペラになりたい」など、漠然とした答えが返ってくることがよくあります。日常会話ができるようになるというのはどういうこと?何ができれば日本語が「ペラペラ」になったことになるのでしょうか。アドバイザーとの対話によって、このような漠然とした目標をより明確なものにでき、今の自分にあった具体的な目標や学習計画を立てることができます。

2. 学習のレパートリーを増やすことができるから

学習をどのように進めたらいいか迷っている時、アドバイザーは、自分の身近なところにリソースがあることに気付かせてくれたり、言語学習のリソースについて選択肢を与えてくれます。また、それらのアドバイザーとの対話を通して、さらに自分にあった新たな学習のアイデアを閃いたりすることもあると思います。

3. 学習に問題があったり、不安を感じたりするとき、それを解決できるから

自己主導型学習を進めていると、自分の学習方法に問題を感じたり、学習の進め方でいいのか不安になったりすることがあります。そのようなときにもアドバイザーとの対話が役に立ちます。

アドバイザーから言語学習に関する専門的知識を提供してもらったり、なぜ自分にとってそれが問題なのかをアドバイザーと共に深く考えたり、アドバイザーを通して同じような経験をした人の話を聞くことによって、自分なりの解決方法を見つけることができます。

4. 動機を維持したり、高めたりすることができるから

さらに、アドバイザーとの対話を通して、今自分がやっている言語学習と、将来日本語ができるようになった自分とのつながりを再認識することによって、学習動機を維持したり、高めたりすることにつながります。また、アドバイザーが自分の言語学習のことを見守ってくれているという意識も動機の維持につながると思います。