-俳句-
-俳句-
似合わない 口紅の色 ゆずれない
水星の 静かな暮らし ひろい空
またいつか お会いしましょう 生き延びて
-短歌-
いくつものはじめましてとさよならを繰り返しては僕たちがいる
君だけに願う未来があるんだよ、叶えばいいね、また会おうよ、ね。
思い出が今日も僕らを苦しめる、記憶のかたちは目には見えない
-詩-
神さま
神さまを愛したくて、誰のことも愛しているのに、誰のこともどうでもよさそうな、ただ、いつも正しくあろうとする、そんな人を探していた。
大きな音は苦手だから、静かな人だといい。年齢も性別もない、誰だかわからない、神さまを探していた。
すぐにすべてに絶望してしまうのに、誰かひとり、愛してくれたら、それだけで生きていける気がした。
一緒に神さまになろう。
正しさを求めて、なににもなれないまま、死んでいくなにか。
どんな世界が
好きだ、と思うような人はいつも決まっていて、好きだ、と思う人間に聞きたいこともいつも決まっている。あなたの目には、どんな世界が映っていますか。あなたにはどんな世界が見えていますか。この人の見ている世界をわたしも見てみたいという気持ちが、わたしにとっての好きだ。
美しいのかもしれない。残酷なのかもしれない。どんな世界の中で、この人は、こんなにも傷つきながら生きているんだろう。何が見えたら、そんなに優しくなれるんだろう。なんのために、死を選ばずにここまで来たんだろう。わたしに見えない何かが見えている人に会うたび、それを羨ましく思う。わたしより美しい世界を生きてきた人、わたしより優しい世界で生きてきた人、わたしより残酷な世界を見てきた人、わたしより広い世界を知っている人。
これからもいろんな人と出会って、時には世界を見せてほしい人にも出会える。その時には、言葉で、手紙で、電話で、メールで、聞いてみたいと思う。あなたにはどんな世界が見えていますか。あなたの目にはどんな世界が映っていますか。
眠れない夜の話
眠れない夜には廃墟みたいな詩を読む。生活の中には、大きな暗い穴や廃墟があって、穴に落ちないように気をつけながら、ときどき廃墟を眺めながら、わたしは生活をする。朝が明るくなくていいように、夜が暗くなくても良くて、眠れない夜には電気をつける。わたしは夜がこわくない。静かな外、空気清浄機の音、動かないタイムライン、廃墟のような詩。時間を忘れて、社会を忘れて、わたしは廃墟を読む。いつまでもこうしていたいと思う。でも少しずつカーテンの外が明るくなっていって、わたしは眠りにつく。眠れない夜ほど、訪れない朝はないことがわかる。こわい朝が来ないといい。朝がこわくなくなるといい。時間も、社会も、全てを忘れて、眠れない夜をすごしたい。