絶滅危惧IA類(環境省レッドリスト)
かつては本州の福島県から山口県にかけての16府県に生息していましたが、1990年代になって急激に減少し、現在では広島県の三原市(久井町、大和町)と世羅町の数十か所に残るだけとなりました。もっとも絶滅が心配される動物種のひとつです。
国内希少野生動植物種(種の保存法)
2011年より「種の保存法」で国内希少野生動植物種に指定されています。採集・譲渡すると5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金に科されます。
減少の理由
大規模な開発による影響がもっとも大きく、減反によって谷間の水田が放棄され環境が悪化したことや、チョウの愛好家の過度の採集も悪影響を与えたと考えられます。最近の異常気象も心配です。
世羅台地のヒョウモンモドキ
かつて世羅台地には、天然の湿地や水田周辺の畦や水路など、ヒョウモンモドキの幼虫の餌であるキセルアザミが生育する湿地環境が多く存在していました。しかし、湿地の開発や水田環境の変化などにより生息地の多くは失われ、生息地ネットワークの孤立と分断が進みました。
減反によって放棄された水田の一部は湿地状になり、キセルアザミが生育し、ヒョウモンモドキの住める環境になりました。しかし、こうした湿地では、時間が経つにつれ植生の遷移や乾燥化により、キセルアザミが衰退してしまいます。そのため、環境を維持するための保全作業が必要となっています。