メラニン細胞刺激ホルモンと体色調節


アマガエルは背地に応じて体色を変化させます。緑の葉の上にいるアマガエルは多くの場合,きれいな黄緑色です。ところが,枯葉や土などの上にいるアマガエルは茶色っぽいですよね。これは異なる種類のアマガエルが異なる環境に生息しているというのではなく,アマガエルが背地に応じて体色を変化させているのです。

このような体色変化を引き起こすホルモンとして,α-メラニン細胞刺激ホルモン(α-melanocyte-stimulating hormone, α-MSH)が同定されました。およそ1世紀も前のことです(単離は1955年,Aaron B. Lernerらによります)。下垂体中葉を外科的に取り除くと体色変化は起こらなくなり,薄い体色のカエルになります。そこで,α-MSHは発見当初,下垂体中葉(pars intermedia)から分泌される活性物質ということで,インテルメジン(intermedin)と呼ばれました。

α-MSHは今日,Ac-Ser-Tyr-Ser-Met-Glu-His-Phe-Arg-Trp-Gly-Lys-Pro-Val-NH2のアミノ酸配列をもち,プロオピオメラノコルチン(pro-opiomelanocortin, POMC)の限定切断によって産生される多機能な生理活性ペプチドとして知られています。

ここでは,α-MSHによる体色調節について概説します。

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