両生類の体色調節


アマガエルの体色変化はどのようなしくみで起こるのでしょうか?

黄緑色のアマガエルの皮膚を観察すると,3種類の色素細胞が組をなして表皮下に存在することが分かります。黒色メラニンをもつメラノフォア(恒温動物のメラノサイトに相当する細胞),グアニン結晶をもつイリドフォア,カロチノイド系色素をもつザンソフォアからなるこの構造を真皮性色素細胞単位といいます。模式的に現わすと,メラノフォアがイリドフォアを覆い,その上部(表皮側)にザンソフォアが位置しているという図になります。メラニン顆粒(メラノソーム)は,メラノフォアの細胞中心部に集合しています。このメラニンに裏打ちされたイリドフォアは,表皮から入った光のうち,青色光のみを構造色として反射します。この青色とザンソフォアの黄色が合わさって黄緑色の体色が表現されているのです。

一方,茶色のアマガエルの皮膚を観察すると,メラニン顆粒がメラノフォアの細胞全体に広がっていることが分かります。表皮から入った光は,メラニンにより吸収されるので,イリドフォアによる青色光の反射はなくなります。その結果,体色はザンソフォアの黄色とその下部にあるメラニンの黒色が混ざった茶色になります。アマガエルはこのようなしくみで体色を変化させるのです(概要です)。

メラノフォアをアマガエルの皮膚から取り出して培養すると,メラニン顆粒が細胞の中心部に集まります。この細胞にα-MSHを作用させると,メラニン顆粒が細胞全体に広がります。α-MSHは,メラノフォア内のメラニン顆粒の分布を変化させることで,カエルの体色を暗化させるのです。

◆ 両生類の体色調節

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