飽和水蒸気量と湿度

わたし達の身の回りの空気には、窒素、酸素などが含まれています。その中には、わずかながら、水が気体として存在しています。洗濯物が乾くのは、液体の水が、空気中の水蒸気(気体)に変化するからです。

そして、同じ体積の空気中に含むことができる水蒸気の量は、温度が高くなればなるほど大きくなります。グラフにすると右肩上がりの曲線です。

温度が高くなると、空気中の水分子は活動が活発になり、逆に温度が下がると、水分子の活動は穏やかになり、さらに、露点以下の温度になると、水分子同士の引力(分子間力)により液体の水に変化したものが目に見える形としてあらわます。

温度が高くなればなるほどそれに対する値が大きくなるグラフ、何かに似ていると思いませんか。

例えば、食塩を水に溶かしたとき、水の温度が高くなるほどよく溶けます。この場合、横軸を溶液の温度とし、縦軸を溶解する量でグラフを作ると右肩上がりの曲線でしたね。

では、逆に、温度が高くなればなるほどそれに対する値が小さくなるグラフ、何か思いつきますか。

わたしが思いつくのは、二酸化炭素やアンモニアなどの気体が水に溶ける量です。それらは、水の温度が上がるにつれ、気体となって水から出てきます。


寒いときに息を吐くと白く見えます。どうしてこのような現象になるでしょう。

それは、吐いた息が外気温度での飽和水蒸気量を超えたため、水分子が液体の水の粒になってあらわれるからです。


中学校の授業で、フラスコの中の空気をピストンで抜いていったとき、フラスコの中がどうなるか確認する実験はありましたか。(気圧が下がると、フラスコ内の温度が下がり、目に見えない水蒸気という形で存在していた水分子が、水滴(液体)となってあらわれる現象を確認するための実験です。)

これら2つの現象は、温度が下がると、水蒸気は水滴となってあらわれるということを示しています。

飽和水蒸気量を表にすると、下のようになります。



この表を使って少し考えてみましょう。

飽和水蒸気量の単位に着目してください。

読み方は、グラム毎立法メートルですね。

空気1立方メートル中に何グラム水蒸気(目に見えない気体)として存在できるか示すための単位です。

(イメージしてください。1辺が1メートルの箱。)

(1)30度空気のかたまりの湿度が20パーセントであった場合を考えてみましょう。少し暑いけど、さらっとした日ですね。洗濯物がよく乾く!

30.4×0.2の計算式で、1立法メートルあたりにどれだけの水が水蒸気として存在しているか知ることができます。

(答え:6.08g/m3

空気(窒素が主成分)は、1立方メートルあたり約1.3㎏あるそうなので、それに比べたら、とても少量ですね。そして、空気の重さを感じないわれわれは不思議だなぁと思います。

(2)(1)の空気が0℃まで冷やされた場合を考えてみましょう。

0℃では1立方メートルあたりに4.8グラムしか水蒸気として存在できないので、いくらかの水分子が、液体の水となってしまいます。

1立方メートルの空気から、水となって出てくる分の質量は、下のとおり計算できます。

6.08―4.8

(答え:1.28g)

飽和水蒸気量、湿度の計算問題は、表・グラフを読み取ること、温度が上がれば上がるほど水蒸気として存在できる水の量が大きくなること、また逆に温度が下がれば水蒸気として存在できる水の量が小さくなることを理解し、パーセントを使った計算ができれば、大丈夫です!