三国町に剣道場を!

三国町に剣道場を

私たち三国剣道連盟は、今後の方向性を「三国剣道連盟の心」としてまとめました。

その中で、果たす役割として「剣道を通じて社会から求められる人材を育むこと」、目指す世界として「剣道のまち三国」を掲げました。

このビジョンを推進し実現するにあたり三国町に剣道場の建設を要望いたします。

三国剣道連盟は昭和45年に誕生し、本年創立50周年を迎えました。この筋目の時期に、これまでの50年を振り返るとともに、これからの50年にも思いを馳せ、少子高齢化で活力が失せつつある三国町の中で、我々が学んできた剣道でどのような貢献ができるのか、なぜ剣道場が必要なのかを考えてみたいと思います。


少子高齢化の影響

いま我々を取り巻く一番の問題は人口の減少です。特に三国町は坂井市の中でも少子高齢化の割合が最も高い状況となっております。


剣道の役割

全国的に少子高齢化で剣道人口が減少している中で、平成18年に文部科学省により教育基本法が改正され、教育目標の中に「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」という条項が定められました。この教育目標を受け、平成24年4月から中学校で武道が必修化され、学習指導要領に「武道は我が国固有の文化である」と明記されました。

武道が必修化された経緯については様々な議論があるかと思います。昨今の子どもたちを見ていますと、挨拶、礼儀、感謝、善悪の判断、和を尊ぶ心、相手を思いやる心などの所謂「心力」が低下しているように思います。古来、日本では家庭や学校、地域の中で、子どもたちの心力を育んできましたが、現代において心力を育んできた土壌が痩せ細ってきており、心力を育む要素が豊富な武道にその役割が託されたと感じております。


剣道の魅力、役割とは何か?

これらを考えるあたり、全日本剣道連盟で、「教育基本法」「学習指導要領」「武道憲章」「こども武道憲章」「剣道指導要領」「道場訓集」「剣道授業の展開」「学校体育 武道 指導資料」を参考に、これらの中から剣道の特性、魅力、教育的意義、期待感などを示した言葉をチェックし、389項目のキーワードを抽出、整理し、次の3つにまとめています。

① 剣道の修練(鍛錬)が人間形成に資するものであること(人間形成の道)

② 剣道をとおして仲間・友・親子・家族・師弟関係や絆および社会性が涵養されること

③ 剣道は、武士道・礼・道徳などの日本固有の文化性を含んで継承されてきたこと(日本人の心根)

この3つを見ても、剣道が心力を養う要素を持ち合わせていることがわかるかと思います。

学習指導要領に「武道は我が国固有の文化である」と明記されていますが、我が国固有の文化の源には武士道精神が宿っているものと思われます。

外国人から見ると日本は特異で稀有な国であると思われているそうです。

日本は「明治維新」という大改革を成し遂げ、欧米列強の軍門に下ることなく植民地化されなかったアジアでは特異な国です。一方、東日本大震災のとき、暴動や略奪を起こすことなく、悲惨な状況にじっと耐え行儀良く並ぶ被災者の姿に、外国人は稀有な国だと評しました。海外では到底信じられない光景でしょう。外国人から日本は無宗教国家と揶揄されたりすることもありますが、このように日本人には大改革を成し遂げる不屈の精神、自分を律する自制の精神、所謂、武士道精神が宿っており、現代の日本人にもその魂が受け継がれ、無意識のうちにそうした行動につながっているのだと思います。

剣道に託されている役割とは、我が国固有の文化である武士道精神をベースとし、知力、体力、そして失われつつある心力を涵養し、戦後に失われた日本人の誇りと尊厳を取り戻していくことではないでしょうか。これからの世の中において剣道に求められているものは大変大きく、我々は襟を正して剣道と向かい合い、真剣に剣道に取り組まなければならないと感じております。


指導現場の現状と今後

上記のように文部科学省が武道(剣道)教育の有益性を認め推進している中で、学校の教育現場では、生徒数、教員数の減少により、剣道を教えられる指導者が不足し、剣道の授業ができず、剣道部が廃部となるケースが増えてきました。

三国町内においても、三国高校には指導者がおらず剣道部が廃部となっており、三国中学校では剣道専門の指導者がいないことから部員も減っており、廃部の危機にさらされている状況です。小学生の時に少年剣道教室で剣道を学んだ子どもたちが中学、高校に進学した際に、三国町では専門の指導者や剣道部が存在しないことから仕方なく剣道をやめてしまう子どもたちが大変多く、剣道離れに拍車をかけている状況となっております。

そこで平成30年にスポーツ庁が「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を発行し、その中で生徒のニーズを踏まえたスポーツ環境の整備が必要であり、地域のスポーツ団体との連携を推進していくという方向性が打ち出されました。

今後、少年剣道の指導は学校から地域のスポーツ団体に移行していくものと思われます。

我々、三国剣道連盟もこの状況を真摯に受け止め、剣道による少年指導の受け皿となるべく環境整備を急がねばならないと感じております。


現在の指導環境

現在、坂井市4町、あわら市2町の中で剣道専門の剣道場が存在しないのは三国町だけとなっております。三国剣道連盟は三国体育館を借りて稽古を行っており、稽古日は月曜日、木曜日の週2回、少年と大人の部に分けて19時から22時まで利用しております。但し施設の利用については他の団体と競合となっており、高齢者が利用するキッズクラブの使用を優先させたいなどの理由から、今後、利用時間の確保が難しくなりつつある状況です。このように利用日の確保は平日の夕方以降に限られ、参加者が最も集まりやすい土日休日にはほぼ使用できません。

他に三国町内には5つの小学校、4か所のコミュニティセンターの体育館などのスペースはあるのですが、分団のバレー・野球・卓球がメインで使用しており、他の団体が使用することは難しい状況です。

このように三国町では剣道の稽古場の確保が難しいことから、今から30年前に当時の半澤三国町長が中心となり三国町に武道館建設の運動が起こったのですが、最後まで話を詰めることができず計画が頓挫した経緯があります。その後、武道館建設の夢をあきらめ今に至っております。


要望

三国町内に剣道専用道場の建設を要望します。剣道を通じて社会から求められる人材を育む拠点とするとともに三国町が元気になるように剣道で貢献していきたいと思います。


剣道場建設で見込まれる効果

次のような効果が見込めると考えます。

① 学校で行うべき剣道教育の受け皿となれる(我が国固有の文化継承の場)

② 知力、体力だけではなく心力も含めた人間力向上の場となれる

③ 子どもたちの剣道離れを抑えることができる(剣道による少中高の一貫教育の場)

④ 高齢者にも剣道を薦めることで三国町民の健康寿命を延ばすことができる(生涯剣道)

⑤ 失われつつあるコミュニティの場として孤独を解消できる(老若男女ふれあいの場)

その他にも、古来より剣道場には神棚があり、神前にて厳粛な雰囲気の中で、礼法所作を重んじ、剣をもって技を極め、強靭な身体を養成し、指導者の訓話によって国や郷土を愛することを学び、先輩後輩のつながりを密にすることで人を愛することを学んできました。剣道場には体育館では決して感じることができない厳粛で神聖な空気、我が国固有の文化や剣道の特性が存在しており、これらの目に見えない要素も含めて三国町の子どもたちに伝えて行きたいという願いがあります。

また怪我予防、技術習得の観点からも剣道場は大変優れております。例えば体育館で剣道をすると床が硬いことから裸足で踏み込んだ際に踵の怪我(踵骨棘、足底腱膜炎など)につながり、床がウレタン塗装になっていることから滑りにくく剣道のすり足などの足さばきの習得が難しく、つまづいて骨折したり、すぐにマメができるなど怪我が多いのです。剣道場と比べて体育館での怪我の発生率は約3倍といわれており、剣道の稽古には体育館は不向きといえます。

剣道場の床の素材は杉、松、桧などの針葉樹の無垢材が一般的で、構造が体育館の床とは違う作りとなっております。弾性が高く、踏み込んだ時の衝撃を吸収しやすくなっており、塗装も無塗装かオイル塗装を施すため体育館のウレタン塗装の床と比べて、怪我が少なく、疲れもたまりにくいという特徴があります。


「坂井市まち・ひと・しごと創生総合戦略」との連動

坂井市が平成27年度から令和元年度の5年間で進めてきた「坂井市まち・ひと・しごと創生総合戦略」の5つの政策パッケージの中の「移住・定住の促進」「少子高齢化対策」「女性の活躍促進」という政策にも貢献できるものと考えます。

「移住・定住の促進」という政策の中に「シビックプライドの醸成」という施策があります。シビックプライドとは三国町民が三国町に愛着と誇りを持つことです。三国町に愛着と誇りを持つことで定住率を高めることを期待しているわけです。我々三国剣道連盟は「剣道のまち三国」というビジョンを掲げております。剣道を盛況にすることで「三国といえば剣道のまちだよね」と三国町以外の住民の方にも言ってもらえることを目指しております。三国で剣道をすることに愛着と誇りを感じてもらうことでシビックプライドの醸成につなげていければと考えております。

「少子化・高齢化対策」の政策の中の「子育て支援の充実」という施策があります。地域全体で次世代を育成する体制づくりに、剣道場を有する三国剣道連盟は十分に貢献できるものと思います。特に最近の子供たちは家の中でゲームに興じ、外で友達とふれあう機会が減ってきていますので、放課後に剣道場に来てもらえれば剣道を通じて心身を鍛え、仲間とふれあうことで社会性を身につけられるものと思います。

同じく「少子化・高齢化対策」の政策の中の「高齢者の元気・健康維持」という施策については、熟練シニアの活躍の場、健康増進の場として剣道場を利用してもらうことが考えられます。

剣道は生涯剣道を称されるように80歳以上になっても現役プレーヤーとして楽しむことができる世界でも稀な息の長い競技です。剣道を楽しむことで健康寿命を延ばし豊かな老後を迎えることも可能と考えます。

「女性の活躍促進」の政策の中で、働き続けられるための環境整備という項目があります。昨今、女性剣士が増えているのですが、就職、出産、子育て等で剣道を断念する方が多いのが現状です。

剣道場は、剣道を続けたくても場所や時間の問題で稽古を継続できなかった方の受け皿ともなり得ると思います。これは女性だけではなく多様な働き方をされている男性の方にとっても好都合な環境が生み出せると思います。


福井県スポーツまちづくり推進機構

2020年4月23日、福井県は「福井県スポーツまちづくり推進機構」を発足しました。これはスポーツを通じて地域活性化を図るため、県、市町、経済団体、観光団体、スポーツ団体、大学、報道機関等の関係団体が一体となって取組を推進することを目的として設立した組織です。三国剣道連盟もこの主旨に沿って地域活性化に貢献していきたいと思います。


計画

剣道場建設を実現するにあたり、市議会議員の方や役場関係者の方々にアドバイスを求め、動き始めている状況です。現在、考えている計画は次のとおりです。

① 地元剣道関係者の理解を求める

② 坂井市の担当課に相談する

③ 議案を通すために影響力のある議員さんの協力を求める

④ 署名活動

坂井市の寄附市民参画制度の活用


さらに次の項目の具体化を進めていく予定です。

・運営形態(市営?民営化?)

・建設位置

・用地の確保とその所有者

・面積

・施設の管理体制

・コスト

・その他


本件につき、昨年、卯目ひろみ あわら市市議会議員のご協力のもと、稲田朋美 衆議院議員(自由民主党幹事長代行 )に武道館建設の要望をお願いする機会を頂きました。稲田議員は三国剣道連盟創立50周年記念式典にも参加くださり、スピーチの中で剣道場建設を応援しますと述べて頂きました。


今後どのような活動が必要なのか手探りの状態ではありますが、皆さまのご支援、ご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。