ミニ・フォーラム「ガザ問題と中東研究:共に考える」
略報告
2024年5月12日(日)12:00~12:50に、東京大学駒場キャンパス18号館(4F)において開催し、約60名の参加がありました。会場では、パレスチナ問題関係図書(約25点)、「ガザの声が聞こえますか?」ポスター(14点)が展示され、参加者が作成した資料類(9点)が配付されました。一人5分程度、下記の計14件の発言がありました(発言順)。
・東京大学学生有志で即時停戦を求める署名運動、講演会などの行動を行っている。
・北海道パレスチナ医療奉仕団に関与し、現地からの報告会などを行っている。
・日本の現状や、日本とイスラエルとの類似性(米国との軍事的関係、地域管理のコマ、軍需産業強化)を考える必要がある。
・5月10日の国連総会決議(パレスチナの国連加盟支持)に示されるように、ガザを契機に国際法・国際秩序が世界の民衆の力で再建されつつある状況。反面、まだガザの住民一人の命も救えていない。
・日本での報道は、メディアの都合や日程で回っている。アラビストとしては、身近な情報源から得た情報をいち早く伝えるのも重要な使命と考える。
・ガザ問題について、「No War」を訴えるだけではダメで、国民国家や民族主義、多文化共生といった問題として、より広くかつ学問的に訴えていくことが重要。
・自分の勤務する出版社ではガザ問題等をめぐる英文書籍出版に取り組んでいる。
・イスラエル側は、LGBTや性暴力の問題など、ジェンダーも利用した宣伝を展開している。それは「感情の政治」であり、自分たちの無力感をふくめて、これをどう突破するかを考えたい。
・自分の所属する私立大学では、学生の連帯のキャンプが出現し、学生と面談したうえで許可することになった。
・NGOは非常に精力的に動いていて、中東研究者「有志アピール」呼びかけ人としてNGOと何度か共同声明を出した。
・国際発信も重要ではないか。本件について欧米はいろいろな事情に手足を縛られているが、日本の研究者は(より自由に)発信できる位置にある。
・中東研究者有志アピールはマイルドすぎ、主語・目的語が不明瞭で何を要求しているのかがわからない。もっとはっきりした声明なら喜んで署名する。
・インターネットには、IMES(Institute for Middle East Understanding) https://imes.org/など、情報サイトが多数ある。日本の中東研究者のプラットフォームも必要かもしれない。
・戦争や殺戮は何も生まない、議論は対立しても和解・妥協することはできる。いま私たちは生きてまだ話ができるわけであり、対話(意見・情報交換)をしたいと思い、中東学会年次大会が開催される場所で、このミニ・フォーラムを企画した。