研究内容

卒論の指導を希望する3年生は研究室配属希望を出す前に必ずご連絡ください。

1.カメムシ類の共生細菌はなにをしているのか?

カメムシ類の多くは体内に共生細菌を保持していますが、この共生細菌が宿主カメムシの成長に与える影響や宿主カメムシが利用できる餌植物の範囲に与える影響などを研究しています。
コチラもご覧ください。column.odokon.org/archives/2007/0802_170330.php 

チャバネアオカメムシにおける、共生細菌を保持した状態で育てた個体(左)と共生細菌を実験的に除去して育てた個体(右)。共生細菌を除去すると幼虫期の死亡率が著しく上がり、成虫になれた個体にもさまざまな異常が見られます。

2.カメムシ類と細菌の共生関係はどのように維持されているのか?

カメムシ類には共生細菌をメス親から子へ垂直伝播するものと、毎世代環境中から獲得するものの両方がいることがわかってきました。それぞれの詳しいメカニズムや、それぞれがどのように進化してきたのかを研究しています。
コチラもご覧ください。column.odokon.org/archives/2007/0802_171507.php 

産卵するマルカメムシ。卵の下側に共生細菌の入ったカプセルを産み付けています(コチラの動画もご覧ください)。

megacopta.mov

孵化直後にカプセルから共生細菌を取り込むマルカメムシの幼虫。

3.カメムシ類の共生細菌はどのように多様化するのか?

共生細菌をメス親から子へ垂直伝播しているカメムシにおける共生細菌の多様化機構としては共種分化が知られていましたが、共生細菌がまったく新しい細菌にすり替わる”置換”も頻繁に生じていることが最近の私たちの研究で明らかになりました。共生細菌の置換のメカニズムやカメムシ類の進化に与える影響を研究しています。

マルカメムシ類と腸内共生細菌の共種分化。宿主カメムシと共生細菌の系統分岐パターンが一致することから、マルカメムシ類の共通祖先はすでに共生細菌を保持しており、それをメス親から子へと垂直伝播しながら種分化することで共生細菌も分化してきたことがわかります。

チャバネアオカメムシの共生細菌多型。南西諸島では元の共生細菌であるBタイプが新しい共生細菌C〜Fタイプに置換されることによって共生細菌の多様化が起きています。

4.昆虫類における親子間・雌雄間の相互作用

さまざまな昆虫の親子間・雌雄間の相互作用について、行動生態学的・進化生態学的研究をしています。

エサキモンキツノカメムシのメス親は産卵したあと、卵塊に覆い被さって守るような行動をとります。何からどのように守っているのかを調べています。

その他にも昆虫を対象にした生態学全般を扱っています。

これまでの研究成果の多くは著書にもまとめていますので、興味のある方はコチラご覧ください。