――それは、水源からなる棺と音楽による「真実」の世界。
大衆から認知されていない幽霊が家出した少女と出会う話。或いはふたりたちの物語集。
――はじまりのそこ、音楽箱(オルゴール)と一冊の歴史書(ほん)があった―
音楽箱は世界を奏でだし
世界はゆっくりと創造されていった
歴史書は空白のページから
少しずつ文字でうめていった
互いは一つとなって 世界を形創った
音楽箱は神God(アルデ)と呼ばれ
歴史書は死Death(デルア)と呼ばれた
二つは今日も、世界を創る
しかし もはやそれらが何処にあるのかは
今の人達にはわからないのだ
この世界は内(イリアーション)と外(メリアテーリュ)に分かれている。
世界は丸いと仮定して、その中心には、水月(センター)という核があり
そこには死が存在しているという。
内は寒冷であり 海の上に陸があるような構造。
外は温暖であり 「空」という海が存在している。
内から外を通して六つの滝が流れている。
その滝の流れ落ちる先には 地下大海が広がっており
そこには神が存在しているという。
内と外 互いはよく知られていない。
人間は、生まれた時に音楽を授かる。神(アルデ)の御加護があるようにと。
人間は、死んだ時に音楽を捧げる。死(デルア)がその魂を回収しやすいようにと。
そのどれかが欠けていた時、その者の魂は迷走するだろう。
音楽を授かったまま死に至り、音楽を捧げずにいると
その者の魂は世界にとどまることになり、世界をさ迷うこととなるのだ。
彼――アーヴェルテル=ディータスも、その中の1人である。
本来なら悪霊となるはずなのだが
彼は亡霊となり、世界に存在せざるを得なかった
誰かが彼の存在に気付き、音楽を捧げられる者の力を借りないことには
彼はいつまでもこの世界にいることになる。
データをさがすところからです
アーヴェ(アーヴェルテル=ディータス)
フローラ(フローラレンタ=ルエイン)
ラズイアリ
ヘロイト(ヘロイトリオス=ヴィンタート)
レイヴァール
ヴィンテ(ドラクライナス=ヴィンタート)
ガレータ(ガレータム=アルロス/アイザック=ベラトニーゼ)
リズ(エリザベス=ベラトニーゼ)
クロスト(クロストロフ=ヒェイズム)
ルカ(メルカトル=ハーラーン/ルーカェリア=ディアス)
リリヴァット
シーガ(シガレット=スウェルター)
レイエン(零煙/レイエン=エドフーディス)
アーヴェ(アーヴェルテル=ディータス)
「生まれてきてくれて、ありがとう」
「母上のこと、大好きだよ!」
「この幸せがいつまでも続いたのなら、」
「もう……少ないか」
「母上!」
「あなたは、いきて」
「……僕はこれから一体、どうやって生きていけばいいの……?」
「……父上、僕は……!」「あ、」
「このまま消えていくのだろうか……僕は……」
「どうして世界には知らなくてはいけない真実が存在するのだろうか……」
「……私はアーヴェルテル=ディータス」
――残酷な運命に翻弄されたとある一人の屍人の話
アーヴェルテル=ディータス(アーヴェ)
性別:男
年齢:25(19)
一人称:私
フローラと行動を共にする生屍。19歳で父に殺される。
とある村の生まれだが、今は廃墟となっている。
母のことが大好き、一方で父を少し恐れている。
どういう訳か、魂は消滅せずに、現世に留まっている。
しかし幽霊であることに代わりはなく、中途半端な状態で6年間、
フローラに見つけられるまで、孤独に過ごしてきた。
彼女と共に、自らの終着点と真実を探すために旅をしている。
見かけはクールだが、かなり繊細で軟弱。
特にフローラには甘えるし、泣き言もよく言う。
フローラが近くにいないと、他人には彼の姿も声も聞こえない。
また、自ら物に触れられないというように、「こちら側」への干渉が出来ない。
右目に視力はない様子。
母が作るアップルパイを好み、今でもアップルパイは大好物。
フローラ(フローラレンタ=ルエイン)
「ああ……その子だけは……」
「……あなた、だけでも、いき、て?」
「ここは?」
「はじめまして?」
「私達はそれでもあなたの親だから……ね?」
「大好き」
「私はどこから来たの?」
「この教会はとある神様を象徴しているんだよ」
「森に遊びにいってくる」
「……あなたは?」「この猫はラズイアリと呼ばれていて……」
「私はフローラレンタ=ルエイン」
――喪われ続けた果てに行き着く場所に立つ一人の少女の話
フローラレンタ=ルエイン(フローラ)
性別:女
年齢:17
一人称:私
物心ついた時には親がいなく、孤児として教会に迎え入れられた身。
浄化やピアノ演奏も出来るらしいが、あまり人前ではやらない。
気が強く、やや大人びている。言いたいことは素直に言う。
それが思わぬ事態を引き起こすことも度々。
可愛いものは好きらしく、羽猫のラズイアリを拾ったのも彼女である。
神の存在は半信半疑。
特別ななにかを内に秘めているらしく、アーヴェの姿や声をはじめて聞いたのも彼女。
彼を見つけ、彼の為に何とかしようとともに旅をはじめた。
耳がいいのだろうか。様々な音が聞き取れる。超音波とか電波?のようなものとか。
現実と理想の狭間をさ迷う。
ヘロイト(ヘロイトリオス=ヴィンタート)
「俺だって考えてないわけじゃないっての……」
「悲しいからって、それは……みんなも同じ、だろ?」
「父上、この惨状は一体……」
「ああ……自分だけ助かるなんて、最悪だ……」
「何故ともにいかせてくれなかったのか」
「……ドラゴン?」
「なあ……お前一人なのか? 群れからはぐれたのか……」
「……一緒にいよう、な」
「俺はヘロイトリオス=ヴィンタート。お前の名前はレイヴァールでどうだ?」
――絶望とともに身体の時をとめた青年とはぐれドラゴンの話
ヘロイトリオス(ヘロイト)
性別:男
年齢:32(26)
一人称:俺
ヴィンタート家の6人兄弟の長男。アーヴェの兄。
自分が調合した薬の副作用で、身体の時が止まっている。
うわべは気さくな人柄であるが、内面は思慮深く冷静。
地頭がよく、勤勉。薬の調合が得意なのは父譲り。
怪我をしたドラゴンの面倒を見ていたら懐かれてしまった。
父を尊敬しており、きょうだいをよく気にかけていた。
アーヴェの事はやや愛憎を抱いている様子。
ヴィンテ(ドラクライナス=ヴィンタート)
「どうして、君は……」
「ありがとう……!」
「ずっと、一緒だ」
「喜んで」
「お前だけを……」
「愛して……?」
「……どうして」
「みんな大好き、です」
「何故……お前までを失わなければならない……?」
「もうみんな、いらない」
「貴様……ッ!」
『我は汝が気にいったぞ』
「マイラ……せめてもう一度だけ……」
「……私はドラクライナス=ヴィンタート、それ以外のものはない」
――運命の狭間で揺れ動く、最愛の妻から始まり全てを亡くした男の話
ドラクライナス=ヴィンタート(ヴィンテ)
性別:男
年齢:40代
一人称:私
マイラの夫であり、アーヴェの父。ヴィンタート家の主。
気難しい性格で、周囲からはやや近寄りがたく見られていた。
魔術研究を行っており、特に調薬が得意。
妻と死別してから、現在は世界を掛けた、とある事を為し遂げようとしているらしい。
アーヴェのことをやや疎ましく思っているようだ。
ガレータ、リズ
「アイザ……この娘を連れて、逃げて下さい……」
「そんな所業、俺には出来ません……!!」
「ねぇパパ。なにが、おきたの……?」
「ごめんな、お前を……こんな目に遭わせるつもりじゃ……」
「だいじょーぶだから、ないちゃだめだよ?」
「いつか復讐を……」
「パパがわらってくれればうれしい!」
「ほんとはね、しってるの」
――城を追われた男と娘の逃亡劇にして、復讐劇
ガレータム=アルロス(ガレータ)
性別:男
年齢:30~40代
一人称:俺
リズを連れて、安住の地を求める放浪者。リズに対してはやや過保護ぎみ。
アーヴェ達の目的が気になっているらしく、時々ばったり会っては絡んでくる。
酒が大好きで、リズに隠れてよく飲んだりしている。
自由で楽観的で、気ままな人間。
へらへらとした態度の男だが、根はいいやつ……らしい。
"外"出身だという。
リズ
性別:女
年齢:5
自己称:リズ、私
ガレータと共に放浪する、純粋な少女。
人一倍好奇心も強く、危なっかしいことを平気でするので、いつもガレータの不安は絶えない。
「たかいたかい」が好きで、ガレータ以外にも背が高い男性を見るとねだってくる。
ガレータのことをパパと呼ぶ。
クロスト(クロストロフ=ヒェイズム)
「お兄ちゃんだいすきっ」「僕もだよ」
「今日はどこへ行こうか」「私ね、いいとこ知ってるよ!」
「宝探しにいこうよ」
「はやく離れ……!」
「に、にげて……はやく……」
『助カリタイカ?』
「……守れなかった。一番大切なものを……この手で殺めてしまった……!」
「この銃は、もう使うことはないだろう」
「……クロストロフ=ヒェイズムと申します。では、もういいでしょう」
――銃声の先、自らの命と契約と引き換えに一番大切なものを犠牲にした青年の話
クロストロフ=ヒェイズム(クロスト)
性別:男
年齢:25
自己称:僕
内にある図書館の館長。
丁寧な対応をしてくれるが、現在は何か研究をしているらしい。
名高い魔法使いでもあり、高度な魔法を使いこなす。
うわべで笑い、時折もの悲しげな表情を浮かべる。
真実は求めるだけ無駄なもの、という思考を持っている。
アーヴェとは気が合わず、いつも会話がずれている。
弟子であるルカには少々手を焼いている様子。
ルカ(メルカトル=ハーラーン/ルーカェリア=ディアス)
「こんな世界は狂っている……」
「なあルーカェリア。お前もそう思うか?」
「貴女の言うことにも、ちゃんと耳を傾けているつもりですよ……」
「争いを鎮める為」
「お前こそが異端者であるに決まっている!」
「そんな、あり得ない」
「……彼女は最期まで自分の意思を貫いた。でもボクは?」
「全ての意思が打ち砕かれた今、もう命は要らない。この滝に身を委ねて……」
「……ボクは真実を垣間見たのかもしれない、か」
「ここは……『あの場所』ではない……?」
「……こんな書物なんて、要らない」
「この炎は……彼女に届く?」
「はいはい、ボクはメルカトル=ハーラーンって言いますよー」
――一番真実へ近づいた故に、現実を突き付けられた古の者
メルカトル=ハーラーン(ルカ)
性別:?
年齢:13
自己称:ボク
クロストの弟子。中性的な顔立ち。
けれども常に無気力でやる気が無さそうな態度をとる。
真面目に師匠を手伝おうともしない。言動も適当なことが多い。
けれども腕は確かなようで、それはクロストも認めている。
エスティア=トレロント(エティ)
ラトーダ=トレロント(ラトー)
リリーテット=ルエイン(リリィ)
クラエリマータ=ラウラス(クラウ)
マイラリティナ=ディータス(マイラ)
ロベルテリアス(ベル)
トロリアテネス(トロ)
ガルドレナス(ガル)
リダーテア(リダ)
メダリアル=ゾムスティア(ダリア)
スカーレッティエ=トリンドホーク(カティエ)
アルベイン=ベラトニーゼ(ルイン)
メルエルカ=ベラトニーゼ(メルエル)
シャルロット=カーティンメイス(ロッテ)
ロベアリアム=ベラトニーゼ(アリア)
グラディエ=ファーデイル(グラファ)
マリア=アルバマ(マリア)
ジェイソン=ボービーズ(ジェイソン)
マルフィリア=ティンパーム(フィリア)
アリシエル=ヒェイズム(アリシエ)
エイメール=ディアス(エイール)
アイオリア=コロンビエール(イオ)
クラウディオ=ベルンシュタイン(クラディ)
マナナシエル=リジエスタ(ナル)
アリメット=レイディ(リメット)
エリュート=レムディーア(エリュ)
ウィルダルア=ストゥーテ(ウィルダ)
エレガール(エレ)
テュルレーヌ=ミンスティ(テュル)
アルデ
デルア
▼メモ
「今日も音楽箱は世界を奏でる」
「今日も歴史書は世界を綴る」
「ふたつはひとつ。はじまるだけじゃおわらない。おわるだけじゃはじまらない」
「また破滅へと導いていまうのか……」
「何処にもない。それがもうひとつ」
「大好きだったから、それだけ苦しい……」
「それが自然なこと。それが世界の摂理」
「泣きたければ泣けばいいじゃない」
「ただひとつ。死ぬな」
「今死んでも世界はかわらない。生きていることで……きっと……」
創世記系→空の海。少年と少女。第一の世界。第二の世界。
伝承系(歴史書1+戦争記)→親子と古の戦争。英雄と語られし男の話。
過去系(歴史書2)→とある家族と長。ふたりの少年とひとりの少女。親子と革命。従者と革命。兄妹の銃。
現在系(歴史書3)→屍人と少女。兄とドラゴン。とある男の後悔記。従者と少女の逃亡劇にして復讐劇。青年と弟子の問いかけ。