マギカロギア

「逆光から形象をかざすだけですね。我々は表を出さぬただの装置でしかない。　

　きっと賑わうだろう、いずれ裏方がいなくなろうとも……人形たち？」 

「夢に色はない？それはみかたがわからないだけだよ。

　うん、描いてみる？……いいねえ。

　蝶羽を束ねて、むげんに染めちゃおうよ」

「ちいさな手が頁を捲るとき、きみはわたしとおしゃべりしていたね。

　もうわすれちゃったかしら？それじゃあ、もういちどはじめようよ、あなたの物語を」

「このみちに踏み入れたのは私。

　だから、後ろを向くわけにはいかないの。

　……というか、そんな暇なんてない！

　誰かあの災厄を止めてーっ！」

「花をどうぞ。君にとって大切なものなんだろう。

　ほら、かれをきれいにしてあげるといい」

「燃し、さいごまでともにいるのは　案外、僕らなのかもしれないね？」
いつかひとしくたどりつく到達点に、手向けの花を用意して
ときに無邪気にわらっている　そうあるだけで、生命の現象であり、魂たちの回帰の地
ともにもやして、うずまくときのなか、またあおう。

「みずたまり、おちちゃ、めっ！

　ノンノもねトットもね、おなじおかお、みえなくなちゃう？

　いっしょけんめ、まもる。かんぺき、おー」

「異邦より翔び馳せ参上！

　ああ、穏便に？どうせ咆哮も不覚！

　偉大なる龍の血脈により、堂々と、おまえを回収しにきたぞ！」

「誰にもみられていないとおもった？

　ざんねん、こんないい匂いを垂らしておいて、紫眸から逃れられることはない。

　君もあなたも、ゆめをみるかぎりはね」

「灯がはじけて散りゆくように、あなたがこの熱をとくとのぞむのなら。

　わたしはこたえ、ともに果てまでゆきましょう」

　人形だって、夢をみていいじゃない。

　私は愛されている。

　君たちをまもろう。すべてをいだいて、鐘鳴しよう。それが、――

　よるべにおこす。おはよう。

　はじけるように、めをさます時だ。