Letter from Professor

作物学研究室

教授 白岩 立彦

作物学は、圃場作物*の高品質・高収量生産を安定・永続的に行うために、作物の性質とくに収量品質を左右する環境的・遺伝的要因を解明し、栽培技術と品種の開発の基礎となる知見を提供する分野です。現在、物質生産からみた多収機構、高低温・水の過不足に対する適応性、変動環境下での高品質・安定生産技術、低アレルゲン性のような新たな作物形質の創造、画像解析などを駆使し品種や技術の効果を測る作物評価技術、などが重要な課題です。本研究室では、ダイズ、イネ、ソバなどを対象にして、その多くに取り組んでいます。

作物学の特徴として、圃場を用いた研究を重視しています。課題によってミクロ(遺伝子・タンパク質、細胞)からマクロ(現地圃場)まで様々な視点で活動しますが、いずれにしても新しい作物品種や栽培方法は必ず圃場条件でその価値が具現される必要があるためです。オーソドックスな圃場でのサンプリング調査に、リモートセンシングやモデリングなどを組合せながら、作物形質を量的に捉え諸要因との関連を考究しています。学生諸君は、たとえば遺伝子解析が中心の研究課題に取り組む場合でも、共同研究などを通じて圃場の作物のふるまいを体験的に知るような活動を行っています。

農業は、いうまでもなく社会と文化の発展に不可欠です。しかしその持続が環境変動、農地の減少・劣化、人手不足などにより危ぶまれています。問題解決には、作物の一部でなく全体をみることができかつ課題に深く迫る人材が求められます。農業と作物に関心のある人は、是非門をたたいて下さい。

*圃場作物|野外の広い圃場(水田や畑)で、通常、灌漑以外は比較的環境制御の少ない条件で栽培する作物。穀物、マメ類、イモ類、飼料作物、糖料・油料・繊維料作物など。