糸状菌による固体侵襲メカニズムの総合理解


微生物、なかでも菌類(カビの仲間)は一次生産者である陸上植物の分解者として進化し、陸上生態系のなかで最も成功した分類群の一つだと考えられています。この成功の要因としては、菌類が糸状に細胞を連ねた“菌糸”をつくるようになり、単細胞性の微生物が利用しづらい固体基質の内部に侵入して、効率よく栄養素を吸収する能力を獲得したからだと考えられています。私たちは、腐生菌(麹菌)や植物病原菌、木材腐朽菌など複数の菌種を用いて、これら糸状菌の固体に対する付着・認識と侵襲メカニズムを解析し、様々な生態特性を持つ糸状菌という生き様の基本原理と多様性を明らかにしようとしています。

植物体への侵入器官形成を制御する2つのセンサー経路の解析

KEYWORDS: appresorium formation, host-derived component, surface hydrophobicity, sensor protein, MAP kinase cascade, signal transduction

糸状菌における菌糸表面疎水性に関する分子遺伝学的研究

KEYWORDS: hyphal hydrophobicity, adhesion, plant pathogen, secondary metabolite

糸状菌に特徴的な両親媒性分泌タンパク質ハイドロフォビンの生物学的機能解析

KEYWORDS: filamentous fungus, hydrophobin, solid surface, adhesion, biopolymer degradation

糸状菌における低分子量分泌タンパク質(SSPs)の探索とその機能解析

KEYWORDS: small secreted proteins, filamentous fungus, biopolymer degradation, adhesion, invasion