糸状菌における低分子量分泌タンパク質(SSPs)の探索とその機能解析

Screening for small secreted proteins (SSPs) in filamentous fungi and their functional analyses

概要

糸状菌は固体栄養基質を分解する際、基質分解酵素とは別に低分子量の分泌タンパク質(SSPs; small secreted proteins)を多数分泌することが知られています。植物病原菌など一部の菌では、SSPsが植物の免疫システムに作用するエフェクターとして機能する例も知られていますが、ほとんどの菌においてSSPsの機能は明らかになっていません。私たちは菌が栄養基質を分解する際、SSPsが特殊な働きをして基質分解を手助けしているのではないかと考え、栄養基質によって分泌が促されるSSPsを探索しています。例えば、麹菌をキシランを栄養源として培養すると、数種のSSPsが特異的に分泌されることが確認されています。今後、これらの機能解析を通じて新たなSSPsの機能が明らかになれば、バイオマス分解の効率化などを通じてバイオ産業の発展に貢献できるかもしれません。

関連発表:寺内ら,日本菌学会第65回大会,2021年;寺内ら,日本農芸化学会2021年度大会,2021年; 寺内ら,糸状菌分子生物学研究会若手の会 第8回ワークショップ,2021年