研究協力講座

公益財団法人発酵研究所寄附講座

糸状菌・環境インターフェイス工学講座」

概要

本寄附講座は公益財団法人発酵研究所の寄附をもとに2019年10月、農学研究科に設立されました。設立の目的は、生態系の物質循環の鍵となる糸状菌について、近年急速に進展してきた糸状菌のゲノム解析と質量分析などの微量試料の解析技術を用い、糸状菌類全般の比較ゲノミクス解析を縦糸に、界面化学、生化学、細胞生物学などの多面的アプローチを横糸として、糸状菌と環境との界面の科学に総合的に挑むことにあります。本講座の運営は、森林科学専攻「森林生化学分野」および地域環境科学専攻「微生物環境制御学分野」と協力して進めており、この充実した研究体制により糸状菌・環境インターフェイス工学”と呼べる新しい学問領域を確立し、物質生産の為のバイオプロセス開発を加速させますこれにより、地球温暖化や生物多様性喪失といった農林業と環境に関わる人類的な重要問題の解決につながるバイオ産業の新展開を目指します。


糸状菌は分解者として地球規模の物質循環に中心的な役割を果たしていますが、酵母や細菌類とは異なり、固体を基質として侵入分解することができるという特徴を持ちます。固体攻略はまず、糸状菌と固体基質との接触から始まります。従って、この糸状菌・環境インターフェイスで進展する物理化学反応こそが、糸状菌たる生き様を決定づける基本原理と言えます。本講座では、糸状菌による外界(特に固体基質)の認識と侵襲の基本メカニズム解明を切り口として、多様な生態を持つ糸状菌という生き様の基本原理と多様性を詳らかにし、革新的な応用技術へ繋がる新しいパラダイム形成をもたらす学術研究を展開します。