がんの放射線治療は、X線治療だけではなく、放射性同位体を病巣の表面または内部に停留させてがんに照射する、小線源治療 (brachytherapy) があります。小金澤研究室では、広島大学との共同研究により、舌がんの高線量率組織内照射の研究を行っています。
舌がんの高線量率組織内照射は、日本が誇る高度な技術を要する小線源治療です。舌がんの内部に複数のカテーテルを等間隔で留置して、そこにコンピュータ制御で小線源を停留させて、舌がんの内側から放射線を照射します。停留する位置と時間は専用のソフトウェアで舌がん全体に必要な線量が当たるよう最適化されます。
この治療の治療計画 (線量分布シミュレーション) はカテーテルを留置した直後のCT断層写真を用いて作成されますが、カテーテル留置後は舌が一時的に腫れ、その後腫れが引いていくため、腫れの時間的経過に伴いカテーテルの位置関係も変化していきます。
小金澤研究室では、この分野をリードする広島大学との共同研究で、舌の腫れに伴うカテーテルの位置ずれを定量的に評価する新しいソフトウェアを開発しました [Koganezawa, Nakashima, Konishi, Shimabukuro, Hirokawa, Nishibuchi, Kakimoto, Murakami, Physica Medica, in press.]。この開発により、舌がんの高線量率組織内照射の高精度化が期待されます。この研究は、文部科学省 科学研究費 補助金 基盤研究(C) 口腔癌の高線量率適応組織内照射における定量的線量評価と線量分布予測モデル作成 の成果になります。
Teikyo University 帝京大学
Hiroshima University 広島大学
AS Koganezawa, T Nakashima, M Konishi, K Shimabukuro, J Hirokawa, I Nishibuchi, N Kakimoto, Y Murakami
Multicatheter-guided rigid registration for high-dose-rate interstitial brachytherapy for mobile tongue cancer
Physica Medica 133, 104891 (2025). (9 pages) (https://doi.org/10.1016/j.ejmp.2025.104981, published 2025.4.22.)