肺高血圧症の診断
肺高血圧症の診断
脈波を用いた肺高血圧症の診断
新生児の0.3%に発症し,その原因は心臓の心室中隔欠損か肺動脈の閉塞とされている.原因によって治療方法が異なるので,現状では肺動脈の血液を採取し,その酸素濃度を測定して診断を下している.音響学の知見から,閉止管であれば音圧と粒子速度の位相差は90度,無反射端であれば位相差は0度になる.心臓カテーテルで,血圧脈波と粒子速度を測定できれば,上手く行く可能性があるので,心臓カテーテルを借り出し,模型実験で測定精度を検定したところ使えそうと判明した.大学病院で測定したカテーテルデータを,血圧脈波と粒子速度の位相差の視点で整理すると,医師が診断している重度,中等度,正常の診断と位相差との対応がきっちり取れた.侵襲式ではあるがカテーテルを使えば診断できることを示した.続いて,非侵襲方式として超音波エコー装置を用いた診断に取り組んでいる.材料力学で学習するように内圧と弾性管路径は比例するので,血管直径の時間波形を測定できれば,超音波エコーの粒子速度波形と合わせて診断できることになる.超音波センサを体にあてる際に,もし肋骨が無ければ肺動脈血管の円断面を測定できるのだが,肋骨があるので血管を縦割りした画像しか撮影できず,更に血管は心臓に従動して揺動運動するので…断念した。