齢65を超え、同期の友人たちは完全に引退か、あるいは時短労働を始めるなか、当方は未だに現役でフルタイムで働かせてもらっている。幸か不幸か40年にわたり一貫して騒音、振動、音響、波動の業務や研究に従事してきたため、この分野の多数の事例を経験することができた。振動談話会の350回記念誌と400回記念誌で宣言した通り、私が解釈で悩んだ騒音に関する項目や普遍性がある研究結果をホームページに整理して公開すべく鋭意努力中である。しかし完成まで待っていると、もう1年はかかりそうなので、できたところから順次公開しようと思う。公開する目的は、音響、波動、振動、騒音現象の深い理解を目指す後進に対して、ベースラインの底上げと、老婆心ながらこの分野でキャリア形成を目指す人への助言である。あと、進行状況を公開することで本人を叱咤激励し、ホームページ作成を加速するためでもある。
自分史
振動談話会400回記念大会の記念誌に投稿した
「自分史:波動現象に携わった40年」
タイトル通り、業務と研究の視点から40年を振り返っています。実験と経験則ばかりの騒音からスタートし、理論の裏付けのある音響に進み、連続体の振動にも手を染めつつ、要約すれば曲げ波を含めた波動方程式に関わり続けた技術者・研究者人生と言えます。
研究ドメインの定義を、京大「騒音,振動の低減に資する新たな理論解析の研究」から、関大「波動現象で未解決の問題や納得いかない問題を分かるようにする」に変更してから、この10年は非常にうまく研究が進んだ。当初は音響も波動もやりつくされた分野と認識し「落穂ひろいの研究」と命名して自嘲していたが、着眼点次第では未解決問題の解明だけでなく、研究テーマの拡大再生産も可能と今は考えている。着眼のポイントはいろいろな数学手法を脈絡なく眺めながら、研究テーマと繋がりそうな数学手法を直観で判断し、機械力学分野では非標準的なその数学手法を勉強しながら、解析モデルを構想するところにある。
趣味趣向は人それぞれなのでロールモデルとは思わないが、それでもこの42年間、ほぼ一貫した価値観でゴールが見えるところまで歩んできたものだと思う。
研究領域や研究テーマを技術経営(MOT)風に分類し、研究内容を論理学風に分析し、自己の足跡をビジネス書風に具体的に記述した。最後に、研究に対する考え方を最終講義風に総括し、個人的な見解も書いてみた。
2023年秋冬号No.186の"先生の声"に「研究終活、そして学生と大学への謝辞」を寄稿した。
関大で上手く回っている研究プロジェクト運営について書いてみた。学部生にはできそうな課題を順次設定し、そのPDCAサイクルを回すことで小さな成功体験を積み重ね、まずは基本的な知識を身につけさせる。基礎知識を身に着けた院生には、答えが定まっていない研究テーマを与え、仮説と検証のループを納得する答えが見つかるまで無限に回し続ける、諦めない取り組み方法を指導しています。全てのテーマとは言わないが、結構良い結果が得られている。