ロープの渦による減衰
ロープの渦による減衰
速度2乗形の渦によるロープの減衰
京大におけるエレベータロープ用の非接触ダンパーの続きである。微小振幅におけるロープの損失係数は確かに1/10000だったかもしれないが,機械工学便覧で円柱の抗力係数を引くと,粘性領域と速度2乗の渦領域に分かれる.抗力を速度比例の減衰力と見做し,速度2乗領域で損失係数を見積もると振幅の関数となり,渦による減衰では共振倍率は極端に大きくはならない.損失係数 1/10000を前提に,エレベータかご付近に取り付ける減衰付与装置の減衰を設計しても効果が無いことは当然の帰結であった.多孔板の渦による速度2乗形の吸音効果を知っていただけに後悔しきりである.
なお模型実験でロープの減衰を測定したところ,機械工学便覧の円柱の抗力係数から見積もった損失係数は粘性領域,渦領域とも模型実験と極めて良く一致する結果となった.