通常の吸音材の空隙率は90%以上あり、ほぼ空気で占められている。空気中を伝わる音波の特性が空気の密度と体積弾性率で表現されるように、吸音材中を伝わる音波も主に粘性に起因する複素密度と骨格部への熱伝導に起因する複素体積弾性率で表現することができる。
2点マイク法で吸音材表面の音響インピーダンスを、背後空気層長さを変えて2回測定し、複素密度と当時は複素音速を実験同定する式を導出した。美しい式とは言えないが、初めて導出した独自式であった。"Improved Two cavity法"と呼称している。バブル只中の1989年に会社から米国Kentucky大に留学した時の最初の研究成果である。