大動脈瘤の診断
大動脈瘤の診断
大動脈瘤の診断
腹部大動脈瘤は自覚症状がないまま、大動脈直径が2倍近くまで拡張し、突然破裂することもある病気である。動脈硬化診断が上手く行ったので、次の課題として取り上げた研究テーマである。前回同様、手首と足首の脈波波形から、大動脈瘤の有無とその程度を診断可能かどうかを判断することになる。全身動脈モデルは既にあり、消音器の設計はお手の物であり、できるかもしれないと判断して取り組んだ。
腹部のMRI画像と脈波波形を見比べて特徴を探ったところ、振幅線図は全く役に立たなかったが、位相線図ではスロープの高周波数域に健常者と患者でばらつきの程度に違いが見られた。全身動脈モデルで腹部大動脈の直径を変えて計算すれば、その定性的な変化の傾向も表れた。しかし高齢者の個人差の大きい血管の物性値と寸法の中で、脈波波形から大動脈瘤の寸法を分離することは困難だった。かなり時間とお金をかけたが、結論は「無理」だった。