「吾輩はニホンザルである。名前はすでにある」──そんなふうに始めてみようか。うきうき。
今、吾輩はどこかに運ばれてるらしい。
他の動物たちはずいぶんボロボロで多くがもう息をしていない。吾輩の傷はマシなほうだ。比較的に担当が優しかったっぽい?
それに、動物Gが助かるための鳴き声を教えてくれたからでもある。そして、いつの間にか、その鳴き声でみんなと話す方法も広まっていた。
でもね、同じ動物で一番仲が良かったあいつは輸送中に亡くなった……形見だけは、ちゃんと背中に隠している。もうこれ以上、何も失いたくないなぁ。
気づいたら朝だった。なんだか広い檻の中……動物園みたいなとこにいた。まあまあ広くて、日当たりも悪くない。三つに区画が分かれてるけど……いやあ、あの人たち、ちょっと趣味が悪いよね。ニホンザルの吾輩と、動物I、G、Eがいる。動物Iは檻と四肢が鎖で繋がれてて、他の区画へは行けなさそう。
うきうき。
とある区画で、動物Iとおしゃべり。話が弾むってほどじゃないけど、まあまあいい感じ。
そこへ、従業員っぽい人が、ふらっと区画の境目まで来た。輸送中に吾輩を担当してた人だ。敵って思うべきなのに、やけに優しくて……どう接すればいいか、正直まったく分からない。
動物Iがその従業員に向かって襲い掛かろうとするけど……鎖がピシッと止めて届かず。
従業員さんは、無言で吾輩らの食事を置いて帰った。
うーん……動物Iの手、痛そうだなぁ。
うきうき。
とある区画で、動物Eとおしゃべり。と言っても、ほとんどは吾輩の独り言だけどね。それでも、誰かと一緒にいるのは、なんだかほっとするんだ。
しばらくすると、あの従業員さんがやってきた。動物Eが吾輩の後ろにぴとっと隠れる。吾輩らはただ大人しくする。従業員さんは朝と同じように、無言で食事を置いて帰った。
動物Eには大きな傷がないのに、力なく項垂れている。なんというか、ぽかんと空が抜けた感じ。だから、吾輩のご飯を、そっと差し出してみたんだ。ちょっとでも元気になってくれたら、うれしいなあって思ってさ。
うきうき。
……お腹、ぺこぺこだなぁ。夜は暗くて、目もあんまりきかなくて、どこの区画にいるのかもさっぱり。
のんびり歩いてたら、足元になにか柔らかいものがぶつかった。人ではなさそうだ。とりあえずぺろり。じゃあ、ぱくぱく。
お腹がふくれて、ちょっぴり幸せ。そしたら、急に眠気がふわ〜っとやってきたので、近くのちょいと空いてる場所で、ころんと横になる。
おやすみなさい……みのり。
うきき?
……まぶしっ。明るさで目が覚めちゃった。檻の中が人工的な光で照らされてる。目をこすると、他の動物たちと目が合った。どうやら全員が同じこの区画で寝てたみたい。なぜか、倒れている従業員さんの姿も。すると突然、冷たい声が空気を切るように響いた。
「我は、この動物園の管理者だ。我らの従業員が夜に亡くなった。犯人はお前たちの中にいる」
声の方を見ると、輸送を指揮してた人が、機械っぽい何かを口に当てていた。
「我は、お前たちが鳴き声で意思疎通できることを知ってる。従業員を殺めた犯人を夜明けまでに決めてもらう。まぁ犯人は死ぬかもしれないがな」
途端にデスゲームが始まった。
もう何も失いたくない
夜明けまでに犯人をみつけたい(犯人票の最多投票になりたくない)
みんなのことが知りたい
このキャラクターの性格を一言で表すと、なごやかです。
みんなと仲良くしやすいが、他人の悩みを引き受けがちという側面もあります。
輸送中に、仲間を失ったことにより、もう何も失いたくないという欲望が芽生えています。
決め台詞は「ママぁ!......もう何も失わせない!」です。
他のキャラに抱く感情は次のとおりです。
動物I : 応援したい。従業員に一矢報いようとする姿がかっこいい。
動物G : 特になし。あまり関わりがない。
動物E : 放っておけない。もう誰も失いたくない感情が捲し立てられる。
管理者 : 近づきたくない。関われば酷く虐げられそう。
なお、この演じ方は強制するものではありません。なりよりも手軽に楽しんでくださると、うれしい限りです。
プレイヤー全員がキャラクターシートを読めたら、ゲーム開始をクリックしてください。犯人探しが始まります。