「吾輩はゴリラである。名前はすでにある」──有名な一文にならおうか。うほうほ。
窓の外の故郷が遠ざかっていく。……再び目にするためにも、生き残らなければならない。
吾輩は何らかの運搬工程にいる。同行していた動物の大半は、すでに生体反応がない。生存する動物も重度の損傷を受けている。原因は、捕縛者たちによる暴力的な干渉だ。吾輩にも損傷はあるが、比較的軽度。理由は、“助かる鳴き声”を割り出し、即座に実行・共有したからだ。それが結果的に、生存率の向上に寄与した。
朝方、収容されたのは、構造的・機能的に動物園と同等の施設であると判断される場所。内部は三つの区画に分かれており、吾輩ゴリラと、動物N、I、Eがいる。なお、動物Iは檻と四肢を鎖で繋がれ、他区画への移動は不可能のようだ。
うほうほ。
ある区画にて、動物Eと会話していた。その最中、この施設の従業員と思しき者が接近してきた。
動物Eは明らかに萎縮。吾輩の背後に身を隠した。吾輩は鳴き声「うほうほ」を発し、相手の動向を観察。予想通り、危害は加えられなかった。
従業員は、吾輩と動物Eに同一の食事を置いて立ち去った。メニューともに差異なし。
吾輩は自身の分を一部、動物Eに分け与えた。動物Eとの友好関係が、将来的に吾輩の生存確率を向上させると判断したからである。
うほうほ。
ある区画にて、動物Iと会話していた。その最中、あの従業員が再び現れた。
動物Iは攻撃行動を取ろうとしたが、吾輩は即座に制止。今朝の食事量では明らかに栄養が不足している。追加の食事がないと死に直結する。
吾輩は、従業員から吾輩らの食事を受け取り、手渡す直前に摘み食いを行った。不足分の栄養確保である。
なお、吾輩の筋力でも、動物Iの鎖を破壊することは不可能だった。だが助力したことは将来的に何らかの信用として機能する可能性がある。
うほうほ。
……吾輩は、毛嫌いされてる気がする。ならば、生存の「確率」を高めるのは終わりだ。これより、生存の「確立」に移行する。すなわち、この施設からの脱出である。あわよくばみんなで、だ。
徘徊していると、前方に淡い赤色の光源を確認した。捕縛者がしゃがんでいる姿を視認。暗くて不明瞭だが、腰部付近に鍵らしきもの。吾輩は無音接近からの後方タックルを敢行。対象は後頭部を強打し、動かなくなった。鍵は作業服にがっちりと固定されており、奪取は不可能だった。少し離れて寝ることにする。
おやすみなさい……みのり。
うほほ?
突如として、檻内部が人工の光で満たされた。即座に周囲を確認。他の動物たちと目が合ったことで、全員が同一区画内で就寝していたと判明する。そのとき、視界の端に従業員の姿を捉えた。......実質的に「死亡」と見なすのが妥当だ。
「我はこの動物園の管理者だ。我らの従業員が夜に亡くなった。犯人はお前たちの中にいる」
拡声装置を介した声の発信源を特定。発話者は、かつて我々の宇宙輸送時に指揮を執っていた者である。
「我は、お前たちが鳴き声で意思疎通できることを知っている。従業員を殺めた犯人を夜明けまでに決めてもらう。犯人は死ぬかもしれないがな」
途端にデスゲームが始まった。
生き残りたい
夜明けまでに犯人をみつけたい(犯人票の最多投票になりたくない)
みんなのことが知りたい
このキャラクターの性格を一言で表すと、理論家です。
生き残りたいという強い信念がありますが、周りを顧みずらく、毛嫌いされがちです。
輸送中に故郷が見える場所にいたので、生き残って帰りたいという欲望が芽生えています。
決め台詞は「ママぁ!.....待ってて」です。
他のキャラに抱く感情は次のとおりです。
動物N : 特になし。あまり関わりがない。
動物I : 仲間感を感じている。あの者たちへの反感に共感できる。
動物E : 利用できそう。気弱な感じに付け込めるかも。
管理者 : 近づきたくない。関われば酷く虐げられそう。
なお、この演じ方は強制するものではありません。なりよりも手軽に楽しんでくださると、うれしい限りです。
プレイヤー全員がキャラクターシートを読めたら、ゲーム開始をクリックしてください。犯人探しが始まります。