研究内容
Research Topics

”高効率な物資ーエネルギー変換を支える触媒開発” をテーマに研究を行っています。材料の合成から構造解析、活性評価など一通りの実験を行っています。
最近は触媒反応のメカニズム解析や材料開発のツールとして理論計算にも取り組んでいます。 

使えるテク
・電気化学解析
種々の解析(分光、放射光など)
簡単な理論計算
簡単な合成

現在の主な研究テーマ

新規金属酸化物・ナノ粒子・合金電極触媒の開発 (2019 - 現在) 

酸化物や金属ナノ粒子等、無機材料を用いた電極触媒開発を行っています。
合成した材料を、電気化学的な水分解反応や二酸化炭素還元反応へと展開しています。

二酸化炭素還元電極触媒の開発

二酸化炭素還元反応(CO2RR)は、再生可能エネルギーから得られる電力を用いることで、化石燃料によるエネルギーを投入することなく、温室効果ガスであるCO2を再資源化することが可能です。本研究では、種々の無機シート材料、合金材料を用いたCO2RR触媒を開発しています。

代表論文
Chem. Commun., 58, 31, 48654868 (2022). DOI: 10.1039/D2CC00754A.
ChemSusChem, 15, 2, e202102340 (2022). DOI: 10.1002/cssc.202102340.
ACS Appl. Nano Mater., 4, 5, 49945003 (2021). DOI: 10.1021/acsanm.1c00514.
ACS Appl. Mater. Interfaces, 13, 13, 1512215131 (2021). DOI: 10.1021/acsami.0c21920.

微量SnドープCu触媒
ACS Appl. Nano Mater., 4, 5, 49945003 (2021). 

Cu-Al LDHナノシート
ChemSusChem, 15, 2, e202102340 (2022). 

金属窒素ドープカーボン
ACS Appl. Mater. Interfaces, 13, 13, 1512215131 (2021).

ホイスラー合金触媒
Chem. Commun., 58, 31, 48654868 (2022). 

酸素発生電極触媒の開発

水分解反応による水素発生や、二酸化炭素還元反応は、電極のカソード反応ですが、系全体で反応を高効率で進行させるためには、アノード反応である酸素発生反応(OER)を高効率で進行させる触媒の開発が必要です。OERは4電子反応であり、過電圧が大きいことが課題です。本研究では、多元素の金属カチオンを固溶させた多元系金属酸化物ナノ粒子の開発や、アニオンサイトへの異種アニオンドーピングを行うことによるペロブスカイトからなるOER触媒の高活性化を行っています。また、その半反応である水素発生反応ナノ触媒の超臨界流体を用いた合成も行ってきました。

代表論文
ACS Appl. Energy Mater., 5, 8, 92929296 (2022).  DOI: 10.1021/acsaem.2c01751.
Chem. Mater., in press. DOI: 10.1021/acs.chemmater.2c03099.

多元系酸化物触媒
ACS Appl. Energy Mater., 5, 8, 92929296 (2022). 

フッ素置換ペロブスカイト
Chem. Mater., in press. DOI: 10.1021/acs.chemmater.2c03099.

超臨界流体を用いた
ナノシート合成(MoS2)
Dalton Trans., 49, 27, 93779384 (2020).

ナノ材料を用いた機能ナノインクの開発と、
3Dプリンティングデバイスへの応用 (2019 - 現在) 

3Dプリンティングを行う際には、吐出するインクの粘度を適切に制御することが必要です。
本研究では、3Dプリンティングを用いた蓄電デバイスの開発を行っています。特に、イオン液体と酸化物ナノ粒子を混合することでインクの粘度を制御し、それをエネルギーデバイス(二次電池、電気化学キャパシタなど)に展開しています。

代表論文

ACS Appl. Ene. Mater., 2021, 4, 4, 3651-3659. DOI: 10.1021/acsaem.1c00076.
Dalton Trans., 2021 50, 45, 16504-16508. DOI: 10.1039/d1dt02918e.

イオン液体とシリカナノ粒子を混合することで、疑似固体プロトン伝導膜を開発

共有結合性有機構造体からなる電極触媒 (2015 - 現在) 

共有結合性有機構造体(Covalent organic frameworks : COF)は、二次元構造を有する高分子材料で、多孔性を持ちます。これまでの研究で、この孔内に金属を担持することで、通常の錯体や金属(板)電極では達成できない特異な反応活性、選択性が発現することを見出してきました。 

代表論文

ACS Appl. Ene. Mater., 2020, 3, 2, 1644-1652.  DOI: 10.1021/acsaem.9b02141, Chem. Sci., 2018, 9, 3941-3947. DOI: 10.1039/C8SC00604KChemElectroChem, 2018, 5, 805-810. DOI : 10.1002/celc.201701361, Angew. Chem. Int. Ed., 2015, 54, 11068-11072. DOI : 10.1002/anie.201503637

これまでの研究では、この金属担持共有結合性有機構造体電極触媒を、燃料電池に使われる酸素還元反応(ORR)や、二酸化炭素変換反応(CO2RR)に展開してきました。 

超伝導バルク磁石の開発 (2013 - 2014) 

二ホウ化マグネシウム(MgB2 )に着目して、小型の超電導バルク磁石の作製に取り組みました。熱処理や材料設計、前駆体を工夫し、液体ヘリウムフリー温度(10K - 20K)で機能する超伝導バルク磁石を作製することに成功しました。