第9回 海外生活での失敗、挑戦こそ、大きな財産になる!
今回はカナダ・バンクーバーに1年間留学をしていたKさんにインタビュー!
【概要】
KさんはCo-op留学で、半年間はカレッジに通い、コース修了後は現地の飲食店で働き、計1年間ほど現地に滞在しました。通っていたカレッジでは"Customer Relations”コースを専攻し、主にマーケティング ・広報・ホスピタリティ全般を学びました。語学力を鍛えるだけではなく、レストランでの就労経験、現地コミュニティでの人との出会いを通じて、様々な経験が帰国後の進路選択にも大きな影響を与えたと語ってくれました。
(Kさんは2023年2月末(大学3年生後期修了時)から1年間ほどバンクーバーに渡航しました。)
カナダへの留学を決意した経緯は?
自分はもともと英語に漠然と関心があり静岡県立大学に入学しました。特に中学生の頃くらいから野球の通訳者に憧れていて、スポーツ選手に対する憧れとともに、選手の傍で英語を話しながら活躍している人を見て、自分も国際的に活躍できる人になりたいと思っていたところから、英語・海外に関する興味が広がりました。
ただ、実際に通訳の人のことを色々調べてみると、特にプロ野球選手の通訳は海外で育った帰国子女のような人がほとんどで、さらに彼らは英語だけではなくマルチリンガル(英語のみならず様々な言語を話せる人)でもあったため、せめて英語はネイティブでないとなれないなと感じていました。ただ、外国語を使ってグローバルな仕事ができることに憧れを持ち続けていたことから海外留学を決意し、語学力向上と就労経験を主な目的として今回の留学を決断しました。
様々な留学方法があるにも関わらず、なぜCo-op留学を選んだんですか?
語学自体を勉強するというより、英語で何かを学ぶことに関心があり、「働く」という実践的な経験も通じて英語力を鍛えたいと思っていました。さらにカナダは物価も高いため、現地でお金を貯めたいとも思っていたので、そういった経済的な視点からもCo-op留学を選択しました。
当時、卒業後の進路が漠然とした状態ではありましたが、ゆくゆくは営業系の仕事に就くのかなと思っていたので、接客系の事柄を学びつつ、それらのビジネスに付随したマーケティングも学べることに魅力を感じ、Customer Relationsコースを専攻しました。
留学中は何をしていたの?
①英語学習
中でも英語は一番頑張ったなと実感しています。カレッジの授業でも英語でプレゼンをする機会がたくさんあり、英語を使いながら習得していくという実践的な授業を通じて語学力を改善していきました。やはり話すときにたくさん「ミス」をすることで力がついたという感覚が大きかったですね。
また留学中、英語スランプを感じ始めた時期がありました。渡航してから数か月後あたりに今まで聞き取れていた英語がまったく聞き取れなくなった時期がありました...。僕は渡航してから大体半年後くらいに仕事を始めましたが、ある時になって急に英語脳になったときがありました。急に早い英語が聞き取れるようになったり、自分の思っていることを瞬時に言えるようになったり...「俺めちゃめちゃ喋れてる!」みたいな気持ちになりました(笑)
②就労経験について
カレッジにも通っていましたが、現地での就労に費やした時間も多かったなと思います。僕は現地では行列ができるほど人気な韓国料理レストランのスタッフとして働いていました。僕が渡航したのは2月末で、だんだん生活に慣れてきた3か月目以降からこのレストランでの勤務を始めましたが、周りは全員韓国人で、最初は韓国語の複雑な料理名の説明を覚えるところから始まりましたね。お客さんにタッカルビの説明を求められたときには、「俺も知らねえよ!」みたいな気持ちになってました。(笑)
最初は分からないことだらけの状態でスタートしましたが、レストランでの優しい同僚の力も借りながら、楽しく仕事していました!
最初は一スタッフとして始まりましたが、その後10月頃に上司からの一声があり、Supervisor(全体を取りまとめる人物)に抜擢されました。Supervisorは他に2人いて、互いに連携をとりながら職場を取りまとめていたのですが、中でも僕はシフト管理をする監督の補佐や、時間帯責任者の業務などを担当していました。時にお客さんのクレーム対応に回ったりもするので、周りを常に観察しておかなければならない役職で、「やっていけるか」という不安な気持ちもありましたが、そんな困難にもとことんチャレンジしました。
現地で働いてみて、どうだった?
自分が海外で数か月働いてみて、一番好きだったのは、やはり現地での「働き方」だったなと思います。職種も関係するかもしれませんが、自分が働いていた場所では残業はゼロで、たくさん仕事をする「量」よりも、時間内で最大のパフォーマンスをする「質」が重視されます。仕事とプライベートにON/OFFのメリハリがある点が好きでした。
また、お客さんとスタッフの関係もとても素敵だなと思いました。業務中に何かしらのミスをしても、お客さんからひどく責め立てられたりすることはなく(日本でももちろんないとは思いますが)、お客さんとスタッフの関係が近く、フレンドリーな関わり方が好きでした。日本のホスピタリティのように「お客さん=神様」の文化ではないため、万が一お客さん側から理不尽な対応をされたときにも、店側として主張し返すこともあり、「どちらかが強い」というわけではなく、対等な関係で仕事をすることができたのが良かったです。またカナダではチップ文化があるので、それらによって良い接客ができているかを判断したりして少しずつ仕事を改善していきます。自分の頑張りやサービスがそのような形で評価されるのも嬉しかったですね。
カレッジ・就労以外には何かしていましたか?
現地では野球もやっていました。留学前から現地でも野球をやりたいと考えていたので、FacebookなどのSNSでコミュニティを探していました。それでもなかなか見つからないなと思っていた時に、学校のクラスメイトがたまたま現地のクラブに入っていた子で、外国のチームをツテで紹介してくれ、野球をする場所を見つけることができました。彼が入っていたのは日本人の野球コミュニティでしたが、自分は海外の人とも野球をしたいと思っていたので、語学練習の場としてカナディアンの社会人ばかりが集まるチームを選びました。参加したときは、僕だけが日本人だったんですけど、チームメンバーはみんなネイティブなので、日常英会話が速すぎて何を言っているか最初はまったくついていけませんでしたね。それでも日系カナディアンのチームメイトが、ネイティブがよく使うスラングを親身になって教えてくれたり、海外映画について話してくれたりして...。チームメイトは本当に優しい方ばかりだったので、英語がうまく伝わらない、聞き取れない時でも常に支えてくれました。
野球コミュニティでの恵まれた人とのご縁や、レストランでの就労経験は自分の中で今でも大きな財産になっています。本当に充実した日々を過ごせましたね。
それでも日本に帰ってきて就職を決めた理由は?
カレッジの中には、日本でキャリアを数年踏んだ年上社会人の方もすごく多かったので、そういった日本人の先輩に大学卒業後の進路について相談することがあり、「新卒は日本で働いた方が良い」と言われました。海外は日本よりも「経験重視」で人が雇われる文化なので、まだどんな会社でも働いたことのない、社会人経験ゼロの自分がそのまま海外に住み着き働いていくのは現実的には難しいと感じていました。
ですが大学の4年生が始まる数か月前に帰国して、就活を始めたときから、常に「グローバル」というのは軸に変わらずありました。今回の留学経験も活かして、海外と繋がれるような仕事を軸に、就活も乗り切りました。
また、自分は留学前までは静岡の企業で働きたいと思っていましたが、留学を経て30歳から海外に来る挑戦心溢れる社会人の方々の姿を見て、まずは東京に就職して、色々な壁にぶつかりながら切磋琢磨したいと思うようになりました。まさか自分が県外に就職したいと思うようになるとは正直、想定していなかったです。
ざっくり一年間の生活を振り返ってみて、留学を一言で表すと?
うーん、難しいですね。(笑)
自分の留学を一言で表すとしたらキーワードに「失敗経験」とか「挑戦」という言葉が挙げられるかなと思います。もちろん色んな失敗をする覚悟で渡航したし、難しそうで大変だろうと感じることでも、果敢にその火の中に飛び込んでいくような、そんな留学生活だったなと思います。
野球チームに入るのも、ネイティブだらけのコミュニティに入ったり、レストランでも上司からSuprevisorに抜擢されたときに、忙しくなるだろうと感じていながらもそれにチャレンジしてみたり...。実際経験して得られた学びや出会いも大いにあったので、本当に良かったなと思いますね。
留学から帰ってきた今、なにしてる?
留学から帰ってきて就活も終わり、最近は留学前と同じような生活を送っています。英語は留学時期ほどガツガツ勉強はしていませんが、軽く英語のYouTubeを自然に見たりとか、海外経験を詰んだからこそ、勉強の仕方も少しずつ変化してきましたね。
またレストランで働き、素敵な韓国の同僚の方々との出会いもあったことから、帰国してからは英語だけではなく韓国語も勉強し始めました!もともとK-POPにも興味があったのと、就職先でも韓国語を使う機会もあるので、その際に今勉強している知識が活かされることを願い、頑張ってます!
おすすめの英語勉強法を教えて!
実践あるのみ
先ほども話したことにはなるんですが、やはり英語は実践で身に着けたものが多かったです。実際に話してみてたくさんミスをして少しずつ改善していくことは本当に大事で、"完璧を求めない"ことを常に大事にしていました。
それこそ留学前はネイティブのようにスラスラ話せるようになることが理想だと思っていたんですが、やっぱり1年だけの海外経験では、そのレベルになるには時間が足りないので、とにかく最初は文法や言い回しは自然なものでなくとも、「伝わればよい」精神で英語は勉強していました。
会話する中で「これってどうやって英語で言うんだろう」という表現が出てきたら、すかさずスマホでメモを取りながら新しい言葉もインプットしていきました。(僕は"Notion"というアプリの単語帳機能を使って覚えていました)これがすごく便利で、効率的に日常英会話を身に着けることもできました!
環境も大事
あとは、言語を積極的に話せるようなコミュニティに身を置くことも良かったと思います。特に野球のコミュニティで自分だけが日本人だったので、英語で"話さなければならない"プレッシャーもあるし、そういった環境に自分を置くことで、英語脳を鍛えられたと思います。
日常的に英語を使う生活をしていたからこそ、自分も上達できたと思っているので、留学に行って言語を学んでくるのは本当におすすめです。ただ留学は、それなりに費用もかかるし、親御さんの承諾を得たりなど色々な壁を乗り越えないといけない方もいると思うので、もし留学をせずに日本で語学を勉強するなら、日本で国際交流のコミュニティを探してみるのもアリかなと思います。大学のコミュニティ、地域の活動など、静岡でも探せば結構出てくるので、そういった環境探しはオススメです!
留学を検討している方、県大生に向けて一言お願いします!
もし渡航をするか迷っているのであれば行った方が良いと思います。「休学して就活、卒業が遅れてしまい、その後の進路に不利になるのでは」と不安に思う人もいますが、海外で生活して初めて経験することには大きな価値があると思うし、自分はそれを社会人になる前に経験できたので、不利というよりむしろ自分の今後の人生の大きな財産になったと思っています。親御さんの承諾が必要な方でも、自分が海外で何をしたいのか、どのくらいの費用がかかるのか、治安などあらかじめ自分で調べて、親御さんに熱意を伝えられると良いと思います。
応援しています!
Kさん(国際関係学部)2019年入学
カレッジでの英語プレゼン!緊張したそう。
よく食べていたカナダでのブレックファスト
働いていた韓国料理屋さんでの一枚
シアトルでの野球観戦!(T-mobile Park)
レストランで働いていた同僚とBBQ!
ハロウィンでは仮装にもチャレンジ
(サマになってますね)
サンフランシスコの素敵な夕日!