第14回  大学生活と社会活動の二足わらじの留学 

今回はアメリカ、シアトルに大学留学をしていたSさんにインタビュー!

アメリカ渡航から進路決定まで、現地での経験が軸となって、帰国後の進路選択にも影響があったそう。進路に悩む3年生、留学をしようか迷っている学生さん、必見です。

【概要】

Sさんは20223月末~12月までの9か月に渡り、アメリカ西部のシアトルに留学。現地の大学に1年間在籍していました。大学ではホスピタリティを専攻していました。現地大学で勉強するほか、空港のスタッフとしてボランティア活動も行っていました。私費留学であっため、1年間大学を休学をし渡航。また県大の留学生活動支援プロジェクトから、10万円ほどの奨学金をもらい、渡航をしました。


留学をしたいと思ったきっかけは?

もともと、中~高校生の頃から、実家がホストファミリーとして2回ほど海外からの留学生を迎え入れたことがありました。また、父が海外出張に行っていたことがあり英語を話せるため、そういった刺激を受けて海外に行きたいと思うようになりました。当時から留学したいと思っていましたが、中高時代はやはり部活などで忙しく、留学には時間を割くことができなかったため、「大学に進学したら絶対に行きたい!」と考えていました。


その延長線上として、「国際系の事柄が学べる+英語ももっと勉強したい」という想いから、国際関係学部への入学を決めました。留学では、単位互換のある交換留学制度を利用したいと思っており、アメリカやカナダのみならず、県大が提携しているトルコなどへの留学も前向きに考えていました。しかし、大学2年生に入る少し前の期間から、コロナウイルスが本格的に流行し、交換留学で渡航することが難しくなってしまいました。現地で長い時間生活したほうが、得られるものもきっと多いはずだと思ったので、思い切って休学し1年間の長期留学をすることにしました。


シアトル留学中では、具体的にどんなことをやってたんですか?

現地ではコミュニティカレッジという公立の2年制大学に通っていました。語学力向上のための留学というよりかは、「英語で何かを勉強したい」と考えていたので、*ESL授業は受けず、よりアカデミックな内容の授業を履修していました。大学ではHospitality & Tourismを専攻しており、他国からの留学生のみならず、現地の大学生とも一緒に授業を受けていました。

(ESL...English as a Second language...第二言語としての英語。ESL class...語学の授業)


特に自身の専攻分野であるHospitality(接客) とTourism(観光業)の授業を多く受講していました。留学生の履修に関しては、私の通っていた大学では「留学生は専攻を必ずしも決めなくても良い」という制度があったため、専攻の授業だけではなく、コミュニケーションやビジネスの授業など様々な分野の事柄について学んでいました。


現地の大学はやはり「大変」というイメージがあるのですが...

授業のスピードに関しては、やはり最初は授業についていくのに必死でした。特にホスピタリティの授業は留学生にも人気だったため、教授もそういった留学生の言語的障壁を考慮しながら、授業を行ってくれましたが、特にDiscussionで自分の意見を多く述べたりするのは大変でした。授業を録音して家に帰って聞き直し、復習していました。


大学での勉強のほかに、何かやっていたことはありますか?

私が通っていたカレッジのカリキュラムでは、インターンやボランティア活動が盛んで、自分も挑戦したいと思っていました。大学には履修について相談できる担当の教授がいますが、それを相談したときに単位互換のプログラムとして紹介してもらったのが、"International Student Volunteer"と呼ばれている、空港スタッフのインターンでした。大学生だけではなく、退職された年配の方々も活躍しており、様々な人と関わりを持ちながら、活動することができました。


空港ではインフォメーションカウンターに常駐するのが基本でしたが、国際線・国内線の荷物受け取り場所で困っている人がいないか見たり、携帯のSIMについて案内するなど、旅行客のサポートをしたりしていました。この活動は一定の時間働くと単位がもらえるというカリキュラムだったため、規定時間分働き、単位を取得しましたが、ボランティア活動のやりがいを感じたり、現地の人々とのつながりを得られる大きな機会でもあったため、単位取得後も、活動を継続していました。


日本との大学の違いって...?

そうですね....日本では高校卒業後に大学に進学するのに対し、私のいたカレッジでは("Running Start”と現地では呼ぶんですが)卒業前の高校生が通常より早い段階から大学の授業を受けている、ということがたくさんありました。またお母さんお父さん世代の社会人の方も多く在籍しているなど、日本と比べて年齢に縛りがなく、「勉強したい人が学ぶ」というのが一般的でした。色々な学生がいて多様でしたね。また、日本の講義では教授が中心で、講義をするのが多いですが、海外の授業では「教授と学生のコミュ二ケーション」が色濃く行われていたように感じました。時には授業とは全く関連のない話題を少人数でグループを作って話したりと、学生が主体となって「考え、学ぶ」授業も多かったです。

(たまに映画等で見かけますが)学生が挙手をせずに、教授の発言に対して気軽に質問をしたり、それに他の学生が反応して話し始めたり....のようなこともあり、先生と学生の自然なコミュニケーションが多く行われているところも面白かったです。能動的に学べていたので、授業の時間も短く感じました。


海外経験の中で、思い入れの強いものはありますか?

やはり、空港でのボランティア活動は一番思い入れが強いです。留学期間中は大学の授業を受けたり、での仲間と遊んだり、ルームメイトと遊びに行ったりして過ごしていましたが、その他にも地域コミュニティなど、多くのつながりがあったことは大きかったと思います。

空港のスタッフは、空港は出発や再会の場でもあり、人と久しぶりに会えたりする瞬間を、現地で直接見れるというのもあり、そういった人々たちの喜びを私も一緒に感じられることもやりがいだなと思っていました。ただ、もちろん良い思い出ばかりではなく、失敗も多くありました。ボランティア活動の際には、次の目的地に急いでいる人もいるため、急に質問されて対応しようとしても、その人に自分の英語が伝わらなかったりすることもよくありました。まだまだ自分の英語はまだまだだなとと前向きに考え、学びつつそういったボランティア活動を行えたのも大きな財産でした。

空港のボランティア以外にも、地域の活動は活発で、Thanksgiving(勤労感謝の日)などの伝統行事にも地域で集まるイベントがありました。大学の教授が地域のボランティアに関する求人のようなものを募集してることもあるので、そういった場所から情報を得て積極的に参加するようにしていました。


留学を終えて帰国した今、何してる?

語学勉強に関しては、「シアトルで学んできたことを忘れたくない」という想いもあり、"Snapchat"というコミュニケーションアプリを使って、月に1度くらいの頻度で現地の友達と電話したりして、つながりを保つようにしています。また、実家の近所のご家族から教えてもらった、アメリカ人の方が教会でやっているコミュニティがあり、英会話の機会として、そういった環境にも自分の身を置くようにしています。


卒業後の進路は....?

卒業後は空港の地上職として働く予定です。留学期間中の空港でのボランティア活動によって、仕事の魅力ややりがいを感じたことが進路選択の大きな進路指針になりました「英語を使って仕事がしたい」が就活の軸だったので、国際貿易に関する仕事や企業も視野に入れていましたが個人的には「自分が動いている」方が好きなので、多くの人とコミュニケーションがとれる地上職を選びました。


学生の中には、「休学すること」に抵抗がある人もいるの思うのですが...

個人的には1年休学して渡航して良かったと思っています。自分の同期など、周りに休学して留学に行った人が多かったので、特に心配だと思うことはありませんでした。

休学して留学することのメリットとしては、現地での経験を「生活の一部」として経験できる点です。短期だと旅行のような感じで文化に触れ合い、慣れてきた頃に帰国....となってしまいますが、1年間の現地生活では自由な時間も多かったので、「自分で何に時間を割くべきか」を考え常に行動することができました。


ぶっちゃけ、今、海外に戻りたいですか?

とりあえず、今はいいかなと思っています(笑)。でも日本ではできない経験もたくさんできたので、海外生活が嫌だということではないです。海外での永住は現実的には考えていませんが、仕事などの機会でもう一度海外に出られたら嬉しいです。


留学をして感じた、海外の魅力・日本の魅力は?

海外の魅力

日本は周りに左右されることが多くあると思います。ファッションとか....結構一緒になりがちだったり。一方、海外はどう服を着こなすかも自由で、生活の中で「自分」が軸になっているのが良かったです。また、街中で知らない人に話しかけられてもカジュアルにコミュニケーションをとっている人々をよく目にし、他人との境界線をあまり引かず、フレンドリーな雰囲気があるのも好きでした。留学先に関した魅力に関しては、シアトルはマイクロソフトやアマゾンなどの大企業の本社の集積地として有名です。スターバックスの本店もあり、観光の一面も持ちつつ、さらに海があるところも良かったです。サンフランシスコなどはずっと暑いですが、シアトルは日本と同様で四季があり、紅葉があったり、雪も降ったりするので、静岡とはまた違った生活を体験できました。

日本の魅力

反対に、留学をしたからこそ感じた日本の良い点は、「治安が比較的安全である点と、清潔さ、食事が美味しい」ところです。治安に関しては、シアトルでは大麻は合法で、銃撃事件も全くないわけではないので、日本がいかに安全かを改めて感じました。


【英語勉強編】

英語力を鍛えたいという学生に向けて、おすすめの学習法を教えてください!

私がよくやっていたのは、好きなYouTubeを見て英語を勉強することです。特に、"Bilingirl Chika"というチャンネルの動画をたくさん見ていました。彼女こそ、シアトル生まれの帰国子女なのですが、動画を視聴して、聞き取った単語分からない単語をメモしたりして、自分用のノートを作っていました。留学中に使えそうなフレーズ集めを中心に行っていました。


また、オンライン英会話も留学前からやっていました。もう今はなくなってしまった団体ですが、日本で知り合ったフィリピンの学生との英会話に、週1,2くらいの頻度で参加するようにしていました。


留学を検討している学生へ、メッセージをお願いします。

当初、私も留学で挑戦したいことがたくさんあり、渡航先が決まらないなど、あまり明確な予定を立てられずにいた時期がありました。一人で考えていると、なかなか決まらないこともありますが、そういう時は自分より多くを知っていそうな大人や留学経験者の人たちとよく話すと良いと思います。

また「留学をするか、しないか」で迷っている人も多くいると思います。渡航して何をしたいか目的意識を持つことのほかに、留学の軸を決めることで充実した生活を送れると思います!迷ったら「これをしなかったら後悔する!」というものを選ぶのが良いと思います!


Aさん(国際関係学部)2019年入学

お世話になったホストファミリー

通っていたカレッジの外観

空港のボランティア活動の仲間たちと

休みの日にはサイクリングも!

ダウンタウンには高層ビルがたくさん!

現地では9月から暖房をつけていたそう。

シアトルは意外と寒い気候!

カレッジの寮仲間とのパーティー

ビリヤードにも挑戦!

有名なパブリックマーケット!

西海岸代表的都市の位置はこんな感じ




インタビュー、ありがとうございました!

海外班インスタグラムでは、シアトルの

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