コンビーナー:知北和久(北海道大学)、高野敬志(北海道立衛生研究所)
趣旨--------------------------------
日本は,4つのプレート上にある島嶼で,世界でも地震発生や火山活動の盛んな国の一つである。プレート沈み込みによりマグマが生成され,地上に噴出することで多くの火山が活動している。わが国ではその活動は非常に活発で,全国のあちこちで火山噴火が起こっている。火山体や周辺の地下に雨水や融雪水が浸透し,マグマ由来の成分や岩盤の成分が溶出することで,地上の陸水とは異なった物理化学的特徴をもつ熱水系と呼ばれる水圏が存在する。この熱水系は,陸面表層の地下水や表流水と混合しながら循環している。また,熱水系は地下変動を伝える媒体でもあり,その循環による物理化学的変化は火山活動および地下岩盤の動き,ならびに陸水環境に対する影響を知る手がかりとなりうる。現在でも日本各地で大きな地震が頻発し,これによってマグマだまりが触発され火山活動がさらに活発化することが考えられる。このことから,陸水学の分野では火山活動は重要なテーマであると考える。
本企画講演は,熱水系やその陸水との関わりを対象とした陸水学的な調査研究を紹介してもらい,その成果やこれからの可能性について議論できればと思っている。火山活動に関係する陸水学研究の話題提供を歓迎します。
--------------------------------
コンビーナー:吉村千洋(東京科学大学)、千賀有希子(東邦大学)、小松一弘(信州大学)
趣旨------------------------------------
湖沼や貯水池の表層では,太陽光により溶存有機物(DOM)などによる光化学反応を生じている。光照射による光退色現象の進行と同時に,励起されたDOMから活性酸素種などの反応性の高い物質が生成され,生態系や物質循環に重要な影響を与える。このような反応経路は流域や湖沼の影響を受けると同時に,難分解性有機化合物の分解,微生物の不活化,温室効果ガスの生成などを示すが,DOMの分子特性との対応や定量的な評価は限定的である。そこで,本セッションでは,熱帯から寒帯までの気候帯を広く対象として,DOMの化学特性,光照射下での反応性(反応経路や反応速度),それらの物質動態や生態系へ影響などについて議論する場を設ける。気候変動の影響が顕著になりつつある今,地域間比較によりDOM動態と光化学過程の理解を深め,将来の湖沼環境の変化予測に資することも目的とする。
------------------------------------
コンビーナー:野原精一(福島県尾瀬保護調査会)
趣旨--------------------------------
湿地はスポンジのような役割を果たし,雨が止んだ後も長期間,貯水,放水することで河川流量を維持し,渇水を緩和させ,洪水対策にもなります。ある報告によれば,湿地帯は地球表面のわずか7%を占めるに過ぎませんが,世界中の動植物の40%が生息し,生物多様性が高いとされています。地球の湿地の80%以上がすでに消失しました。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最新報告書は,湿地などの生態系が高温,火災,干ばつに対して脆弱であることに注目し,このような生態系の消失により大量の温室効果ガスが放出され気候変動が増幅するとしています。私たちがいまなすべきことは,特定の湿地だけでなく,水系全体を保護,回復することです。河川はその水源から海に至るまで,湿地を潤し,また湿地から水を得ています。水系は風景をつなぎ,他の生態系を維持しています。私たちが湿地を保護,回復しない限り,自然を保護する目標は達成されません。
この課題講演の目的は,湿地の変化は何を意味するのかを明らかにすることです。湿地にどのような変化が現在起こっており,その原因は何か,どのような影響を及ぼすかを議論したいと考えています。
--------------------------------
コンビーナー:尾山洋一(釧路市教育委員会マリモ研究室)
趣旨--------------------------------
寒冷地における陸水研究の一例として,特別天然記念物「阿寒湖のマリモ」が暮らす北海道東部の阿寒湖を対象とした最新の研究成果を紹介します。発表内容は,マリモの生理生態や構造,遺伝的多様性など,生物としてのマリモの謎を解き明かす研究のほか,マリモの「ゆりかご」である阿寒湖の陸水学的特徴や気候変動の影響など幅広いテーマとなっています。これらの多様な分野の研究成果は,衰退の続くマリモをどのように保全していくかを考える上で役立てられています。言い換えると,マリモを適切に保全していくためには,陸水学が得意とする分野横断型の視点で調査や研究を進めていく必要があるのです。本企画を通して,希少種やその生息地を順応的に管理するための学際的な研究の必要性や楽しさを感じて頂けると嬉しいです。
------------------------------------
会員,非会員に関わらず,無料でご参加いただけます。詳細については各企画者からの案内をご確認ください。
The following free meetings are open to both members and non-members free of charge. For details, please check the information provided by each organizer.
企画者:鈴木碩通(東北大学)、原直子(奈良女子大学)、山中千穂(奈良女子大学)、米山貴将(富山県立大学)
趣旨--------------------------------
日本陸水学会若手の会(E会)では「学生やポスドクなどがセミナーを通じて交流しよう」という趣旨のもと,大会期間中に自由集会を開催し,熱い議論を繰り広げています。
今年度の若手の会では,昨年に引き続き,研究室に配属されたばかりの学部生から自称若手の皆さまにご参加いただき,1人3~5分のライトニングトークを実施したします。今回は開催地である北海道にちなみ,「若手研究者よ、大志を語れ」と題し,発表者ご自身の研究成果や野望についてざっくばらんに語っていただきます。もちろん,発表していただく内容は必ずしも大志である必要はなく,ご自身の研究対象への愛やフィールド自慢でも構いません。
和気藹々とした雰囲気で若手同士の交流を深めつつ,新たな視点や着想を得られるような会にしていく予定です。まだ知り合いが少なく,若手同士の交流を持ちたいという学部生・院生の方,ご自身の今後の野望を語りたい方などどなたでも歓迎いたします。ぜひご参加ください。
------------------------------------
企画者:知北和久(北海道大学)
趣旨--------------------------------
現在の当会会員数の現状
学会誌の編集状況とオープン化
2025年11月開催予定の第46回東京大会の確認
------------------------------------