日本陸水学会札幌大会に約200名の方々にご参加いただき誠にありがとうございました。札幌での開催は17年ぶりとなり、学会を取り巻く環境も大きく変容いたしました。しかし、陸水は地球上に存在する水のうち僅か数%。そのうち人間が利用できるのはほんの0.01%であると推定されています。気候変動、人為的な環境汚染等、解決すべき課題は山積みであり、総合科学としての陸水学の重要性は益々高くなっております。本札幌大会では、市民向け公開シンポジウムとして「気候変動と北海道の陸水〜川・湖・湿原の水環境と生き物の現状・将来〜」を開催したところ、約150名の参加があり、活発な議論がなされました。このことは、北海道のみならず陸水環境に対する関心の高さが伺えます。札幌大会を機に、物理学、化学、生物学のみならず多角的なアプローチで陸水学が発展することを願って止みません。来年、松本大会で皆様とお会いし、活発に議論できることを楽しみにしております。
日本陸水学会第89回札幌大会 会長 福井 学(北海道大学)
O-A16 鈴木 碩通(東北大院・生命)「動物プランクトンの分類群によって農薬影響は異なる:イミダクロプリドを例に」
O-A01 木村 元幹(京工繊大院・工芸科学)「琵琶湖北湖における底泥酸素消費特性の化学量論評価」
O-A10 野堀 貴仁(信州大院・理)「オオシロカゲロウ種内の両性生殖系統と単為生殖系統間における発現遺伝子の比較解析―単為生殖原因遺伝子の探索―」
O-A15 米山 貴将(富山県大院・工)「重金属がミジンコの誘導防御と個体群動態に与える影響」
O-A17 上田 満優季(奈良女子大・院)「濾過食者シマトビケラ科幼虫が捕捉・摂食する流下物は何か?:流下プランクトン相・捕獲網捕捉物・消化管内容物の比較」
O-A20 益 桃子(滋賀県立大院・環境科学)「滋賀県内におけるMetagonimus属吸虫の分類、分布および第二中間宿主の再検討」
O-B02 高階 眞丈(横浜国立大院・環境情報)「山形県月山ブナ林における異なる空間スケールでの雪氷藻類の群集構造」
O-A09 佐々木 真歩(神戸大・理)「アメリカザリガニの営巣による水田からのメタン放出可能性をさぐるー予報ー」
P-23 佐野 航士(北海道大・工)「新規パッシブサンプラーによる湖沼底泥中PO₄の高解像度マッピングと内部リン溶出速度の推定」
P-04 堀田 和希(東京大学)「印旛沼流域の谷津における水生昆虫の多様性に影響を与える要因」
P-06 Liang Weizhen (GSFS, Utokyo) 「Laboratory Determination of Clams Burrowing Response to Marine Thermal Stress using Acoustic Monitoring」
P-14 高平 夏芽(総合研究大学院大学)「堆積物DNAを用いた南極湖沼生態系成立の解明」
P-25 谷 和音(信州大・総合理工)「長野県における地下水中放射性ラドンの分布と濃度形成要因の解明」
P-07 北岡 久苑(横浜国立大・都市科学)「クマムシ・ワムシ等の微小動物と雪氷藻類の捕食-被食関係」
P-55 島田 歩果・鈴木 佐和・前田 妃奈(釧路湖陵高校)「培地成分とFe(Ⅲ)がマリモの糸状体の分枝成長に与える影響」
P-57 白戸 湊愛・塚田 晴斗(北海道岩見沢農業高等学校農業土木工学科)「バイオマスの利用による流域土壌炭素および河川水質への影響」
P-56 篠崎 友音・長島 暖・小澤 森・針生 松伍・加藤 杏奈・山崎 美詩(学校法人星槎 星槎高等学校)「光学顕微鏡で観察した都市緑地公園に生息する単細胞真核微生物」