2022年度公開シンポジウム(オンライン)
”富士山とエベレストをむすぶ夢のプロジェクト ネパールの魅力再発見”
”富士山とエベレストをむすぶ夢のプロジェクト ネパールの魅力再発見”
2023年1月21日(土)13:30~16:30 Zoomによるオンライン開催
<開催の経緯と参加者数>
3年ぶりとなったSOVAシンポジウ2023はオンラインに変更して以下のように開催した。今回は対面開催を最後まで目指したが12月になってコロナ感染者の急増によりオンラインとなった。
40名ほどの参加申し込みがあったが当日はSOVA会員及び一般の合計38名が参加した。
(会員及び関係者 17名、一般 18名、パネラー3名)
<テーマ>
今回は昨年逝去されたSOVA会員の伊藤克彦さんの活動と日本との関わりの深いネパールを取り上げた。かつ「富士山とエベレストを結ぶ夢プロジェクト」「ネパールの魅力再発見」の二つをシンポジウムの柱にした。それぞれに川口俊彦氏、また焼津で30年暮らし、「ふじのくに観光大使」でもあるナレス・マハラジャン氏に基調講演をお願いした。
<内容要旨> 鈴木副会長により進行
(1)故伊藤克彦さんの追悼
青年海外協力隊員とし初めてネパールと関わってから50年、ネパールと日本に多くの足跡を残した伊藤克彦氏を写真等で振り返った。
(元気な頃の伊藤さん 2022年7月)
(2)基調講演
(Ⅰ)川口敏彦氏の講演要旨 「富士山とエベレストを結ぶ夢プロジェクト」
・日本とネパールの山岳信仰などを通して人との国際交流を模索する。
・元々シャルパ族のクムジュンスクールと富山県の小学校との交流があった。それを引き継ぎ人的交流をめざした。
・そのため昨年富士宮市で「私のエベレスト写真展」を開催し、市や大使館の協力を得た。
・私の考えは単なる山と山との提携でなく人の交流を図りたい。富士山にエベレスト館、エベレストに富士山館を作り、展示やイベントを通じ互いの文化や生活を紹介していきたい。
(Ⅱ)ナレス・マハラジャン氏の講演要旨
「ナマステ!ようこそ神秘の国ネパールへ」ネパールの魅力。
・日本に住んで30年、ネパールに帰るたびに浦島太郎状態。8時間で時差は3時間15分日本より遅い。首都カトマンズはビルが乱立し全く様変わりしている。
・8,000メートル級の山が連なるネパールでは雪があると山、なければ丘。その意味で夏の富士山もネパール人にはただの丘。
・観光の形も変わりつつあり、トレキングだけでなく数万円のチャーター機で山々を空から見て回れる。象に乗って回るサファリパークやラフティングなどもある。
・世界遺産はカトマンズ盆地だけで7ヶ所あり、8年前の地震によりかなり壊れたが、さまざまな援助により8割方修復が進んでいる。
・変わりゆくネパールにぜひ来ていただきたい。
(3)パネルディスカッション要旨
・参加者の中にネパールの現地から参加していただいた方と建築を専門とする大学院留学生がおり、リアルにネパールに関する質問をすることができた。オンラインならではの強みと言える。
・また、元JICA協力隊員もおり、当時と現在の違いを聞くことができた。
・三浦雄一郎氏とエベレストでスキー滑降をした県内在住者が参加し貴重な体験や環境提言なども聞けた。
・日本とネパールでは山一つ取っても捉え方が全く違う。山岳信仰や人と人との結びつきこそ交流のもとになる。
・コーヒー一杯400円、日本と変わらない。物価の高騰には目を見張る。
・地震による復興の度合いの質問に携わっている院生から約80%修復が終わったという。
(ネパールから参加したサレスさん)
講師紹介
●川口敏彦氏
沼津市生まれ。全国紙の報道カメラマンとして30年間、国内外で取材する。2016年、早期退職し、アウンサンスーチー率いるNLD政権が発足したミャンマーに1年半滞在。その間、現地でオートバイを購入し、ミャンマー全土を走破。その後、ネパール・エベレスト街道の標高4000mの村に9か月間滞在し、シェルパ族を撮影。昨年富士宮市において「エベレスト写真展」を開催。
2021年2月1日、ミャンマーで軍のクーデターが起きて以降、各地で写真展を開きながら支援活動を行う。
(川口俊彦氏)
●ナレス・マハラジャン氏
ネパール・パタン出身、焼津市在住。
1992年に来日、静岡県立大学卒業。1996年、静岡県ふじのくに親善大使に任命され県内の様々な施設で国際交流活動を行う。現在ネパール工科大学客員教授、テレビ出演なども多く活躍している。2007年にはナマステ・ネパールしずおかを発足、会長を務める。今月ネパールに一時帰国してきた。
(ナレス・マハラジャン氏)
パネラー
●狩野央康(ひさやす)氏
静岡市出身、9歳より神道自然流空手道を学び1991年から1994年、青年海外協力隊員としてネパール警察で空手指導に携わる。ヨーロッパやロシア中南米等で空手指導を行う。
ただの野原で「時間とお金をいくらでもあげるよ」と言われたら日本人はどうすればいいか戸惑う。ネパール人なら歌おうよ踊ろうよと簡単に楽しみに代える。そこがネパールの魅力であり日本との大きな違いだと感じた。
パネルディスカッション終了後も多くの参加者がフリーディスカッションに参加され、講師の皆さんからも多くのお話を伺うことができました。シンポジウムは16:30頃に終了しました。参加していただきました皆様ありがとうございました。