<議事録>
市民の皆様を交えての公開シンポジウム“これからの中国とどう向き合うか”
1.開催日時
2019年 1月 19日(土) 13:30( 開場13:00 受付)~16:40
2.会場: 静岡商工会議所 402会議室
3.スケジュール:13:30 開会 (13:00受付): 司会 松村皐月(SOVA)
来賓挨拶:JICA中部センター次長 木下 康光 様
市民の皆様との交流を進めるSOVAのような団体は全国的には少なく、貴重な存在。
中国をパートナーとして向き合い、平和と安定のために貢献していくことは意義深い。
来賓挨拶:静岡県地域外交局 参事 影島 英一郎 様
地域外交局は浙江省との友好関係など、地域間交流を進めている。
今後も、多文化共生社会をめざした施策を進めていきたい。
13:50~14:40 基調講演
“中国人の発想について(要旨) ” 静岡県立大学名誉教授 高木 桂蔵 氏
*中国と中華は異なる。 中華は世界の中心ということ。
*中国人と日本人は異なる。
*政治と文化は別物。 マスコミで伝えられることのみを信じるのは誤解を生む。 本質を見誤ってはいけない。
*在内と在外(中国語) という言葉があって、中国では、内の人と外の人を区別する。
内の人(仲間内、家族・・・)の結束は固い。
*記念日などは大事にされる。 カレンダーは大事にされ、プレゼントとして喜ばれる。
*中国人、党、中国政府はそれぞれ異なるので、ひとつのものと考えるべきでない。
*日本の漢字は中国人は理解できるが、韓国の若い世代は読めない。
*中国にとって朝鮮半島は弟分
*中国人から見て、日本人は礼儀正しい、マナーが良いと、安全に水が飲める
*私は中国、中国人が好きだ、人間の本質に違いはないと思っている。長く、付き合っていかなくてはならない。
質疑応答
Q:中国市民は共産党をどのようにみているのか?
日本と中国との間で、考え方の違いをどう乗り越えたらいいのか?互いに相手の国への好感度に大きな開きがあるが・・・・ ?
A:日本人はすぐ答えが出ないといらだちやすい。
解決できなくても、答えがみつからない場合があってもいいのではないか。長い目で見る必要がある。
15:00 ~ 16:00 パネルディスカッション: “ 私のみた中国”
司会: 広い中国には様々な側面があります。 中国の事情にくわしいパネラーの皆様の知見から、今の私たちがどう向き合っていくかディスカッションします。
パネラー
(1)鈴木文章 氏 元静岡県中国派遣日本語教師
*文化大革命により四旧(文化、思想、学問、芸術?)が排除された。
*1977年学院復活したが、党員がいるため、ほんとうの自由な発言はできなかった。
*人としての中国人はほんとうにいいと思います。
(2)山本 勉 氏 掛川市日中友好協会員
*映画を通して中国の紹介をしてきた。
*静岡、日本の魅力は、富士山、大井川鉄道、伊豆、京都の伏見稲荷・・・・
*中国人の人間の絆は強い、家族の絆は強い。 地縁、血縁が強い。
*中国人は危ない橋でも渡る。チャレンジ精神が日本人より旺盛。
(3)平野 一恵 氏 静岡県日中友好協議会常務理事
*中国語の勉強を通して付き合ってきた。 習近平氏への通訳の機会にも恵まれた
*中国の発展、特に2005年以降の力をつけてきた中国
スマホ決済、ドローン、監視カメラ、・・・・・
*すでに対等な立場で交流できる。 特に、若者の交流が必要と思う。
(4)今村理一郎 氏 元静岡県上海事務所長
*1998年に上海に赴任
*管理職は共産党員が就くのが普通。 党員は20人に一人くらいいる。
*ちらしなど、細かいことでも、党の許可がいる。 これでは汚職がはびこりやすい。
*不動産の高騰にはめをみはるものがある。
(5)永江史朗 氏 本会顧問、元大連外国語学院専家
*最近旧交の旅で中国各地を見てきた。
*インフラの整備状況には驚くものがある。 ニーハオトイレは無くなっていた。
*かつては、訪問場所によって白い眼で見られることがあったが、今回はなかった。
*和諧社会(胡錦涛)の実現を目指している。
和(衣食が満たされる経済の発展)と 諧(誰も自由にモノが言える民主主義)
和はかなり進んだが、諧はすぐにはむずかしいのではないだろうか。
質問・意見 および ディスカッション
Q: 最近民主化が後退してきていないか?
A:歴史、文化は違っても、人の心は同じ。 民主化は遠いかもしれないが・・・・
Q:貧富の格差はどの程度なのか?
A:中間層は幅は広くなってきている。 上と下の格差は大きくなってきている。
Q&A: 教育、研究は非常に大切。 文革時代には人材がいなかったが、いまでは 中国人の80万人が外国留学している。
Q:現在はある意味で、転換点ともいえると思うが、日本にとってチャンスかリスクか?
A:福祉、介護、環境、・・・・などの新分野でのチャンスは大きい。対等の立場で、協力しあっていくことが大事であろう。
16:30 総括コメント :高木桂蔵 氏
*今日は自由にいろんな意見が聞けて良かった。
*この議論はこれで終わりではない。今後も続いていくものだと思う。
*中国でも日本でも民衆のレベルでの交流や議論が高まっていくことが望ましい。
*主催者に機会を提供いただき、ありがとう、またの機会があれば、いつでも伺う。
16:40 閉会挨拶
静岡県JICAシニア海外ボランティア協会(SOVA) 会長 原 義廣
以上