公開シンポジウム イスラム文化と日本人
実施日:2016年 1月30日 静岡駅ビル,パルシェ7F会議室
目的 :
今世界を震撼させているイスラム過激集団の行動が、イスラムをよく知らない我々日本人に一般のイスラム教徒への偏見と無理解を与えている。 SOVAは今までシニア海外ボランティアOBとして市民の国際感覚向上に役立つ研究会を行ってきた。今回はイスラム諸国滞在OBを中心とした公開研修会を開催し県民のイスラムに対する理解を深め、異文化を共有して多様性のある文化社会を作る一助になる事を目的とした。
具体的な活動内容:
活動名: 平成28年度冬季海外事情公開研修会
シンポジウム『イスラム文化と日本人』 協力 :JOCV静岡県OB会、JICA中部
基調講演: “イスラム文化とその現状”
レシャードカレッド博士 (レシャード医院院長 カレーズの会理事長)
パネルディスカッション “イスラム圏で経験した各国の実情“ ファシリテーター 大石銑太郎(SOVA)
パネラー
1.井上雅夫(シリア) “日本での報道と現地感覚の差が大きい”
2.ムンティア アユディア(在日インドネシア留学生) ”バイト先で思う事“
3.池田昌弘(ヨルダン) “女性も社会進出している”
4. 杉山弘樹 (ブルキナファソ) ”イスラムとキリスト教徒が共存する国で”
総括 レシャードカレッド博士
レシャード博士はアフガニスタン出身であるが京大医学部卒業後帰化し国際協力や地域医療活動に従事されている。 基調講演では現在のアラブ紛争は外国によってもたらされたものであり、アラブやイスラムが本来好戦的な思想を持っているのではない、イスラムとはアラビア語で『平和』を意味する、等が強調され、各パネラーも実生活経験から誠実で温厚なアラブ社会を語りかけた。
成果:
アフガン出身で日本にて国際協力活動をしているレシャード博士の基調講演は、日本人の イスラム偏見を取り除くのに大いに役立った。 日本のマスコミ、特にテレビで流される報道は過激な面だけを強調して映し出すので、我々は自然にゆがんだ情報を得ている結果となる。
イスラム教徒と日本人的仏教徒の間で生活習慣や人生観が異なるのは当然であり自然の事であるとの理解を深める事が出来た。
今後日本とイスラム諸国との交流もますます広がっていくことが予想されるが、異文化との摩擦 を避け友好関係を構築するために、先ず我々が理解することから始めなければならないと認識された 研修会であった。
参加者: SOVA 18名、一般82名 計100名
特記事項:
政治討論会とする事は極力避け社会文化面のような人間関係に焦点を合わせたシンポに、とのコンセプトで企画した今回のイスラムシンポは、ほぼ予想通りの展開で進んだ。しかし、紛争や暴力は彼ら民族・宗教に基本的に依存するものではないことが明らかになるにつれ今後は国際政治環境に目を向けざるを得なくなるであろう。
公開シンポジウム 開発途上国における障害者支援の現状と日本の福祉を考える
実施日:平成27年 9月19日 実施場所:島田市民総合施設プラザおおるり
目的 :
わが国では2006年に改正された学校教育法により小中学校における障害者支援体制が強化され、設備や教員の強化が図られてきた。一方SOVAでは、今まで国境を越えた社会の多様性に我々はいかに対処するべきかについて研修を重ねてきた。今回は障がい者を含む社会のあり方について、市民とともに福祉を考えることを目的とする。
具体的な活動内容:
活動名: 平成27年度秋季海外事情公開研修会
シンポジウム『開発途上国における障害者支援の現状と日本の福祉を考える』
協力 :JOCV静岡県OB会、島田市教育委員会、島田市社会福祉協議会、JICA中部
基調講演: “大洋州バヌアツでの障がい児童支援” SV 大谷一雄
パネルディスカッション “途上国での障がい者支援の実情“ パネラー
1.大谷香苗(バヌアツ随伴) “主婦の目で見た障がい児童支援”
2.砂川清美(エクアドルSV) ”エクアドルでのメンタルケア“
3.大石紗千子(ウガンダJOCV) “ウガンダでの障がい児支援” 総括
小澤 巌 氏 島田市社会福祉協議会 会長
基調講演では、日本で障がい児教育に携わっていた大石氏がバヌアツにわたり、小さな島国で障がい児施設の運営改善事業に取り組む中で体験した地域社会と障がい児の関係について話され 、各パネラーは、途上国における対策は非常に低いレベルにあることを指摘しつつも、地域社会による 包容力が大きく、障がい児であっても皆幸せ感を抱いていることが述べられた。
成果:
SV・JOCVとして途上国での障がい者支援に携わってきた人たちの声を聞いて日本の優れたシステムや人材により効率的な援助の必要性を共有したと同時に、障がい者を取り 巻く社会情勢の違いを浮かび上がらせることが出来た。南米、アフリカ、大洋州の国々では一様に地域社会が共同で障がい者を受け入れている、そして彼らはそれなりに幸せ感を持って生きていると云う話が講演者やパネラーの議論から浮かび上がってきた。 幸せとは物や制度にのみ起因するものでなく、周辺の人々の受け入れる心が幸せを感じ、生きる力になっているというある意味では当然のことを再認識させられた。
議論に参加した一般市民も改めて我が国の福祉を考える機会を得たのではないか。
海外援助活動は単に与えるばかりではなく、援助対象国から学びを得てくるものであることが実証できた研修会であった。
参加者 SOVA 19名 一般 51名 計 70名
特記事項:
今回の研修会は、海外援助をテーマとしつつも我が国の福祉を考える的を絞った内容にした。そのため教育委員会や社会福祉協議会等から支援を受け、多くの市民参加を得て開催された。
現職参加した隊員が帰国後その体験を生かして更に充実した障がい者支援活動を行うようになったことは、大いに参考になる。