私たちが定義する「ボードゲーム教育」とは、多種多様なボードゲームを楽しく遊んだり作ったりする経験を通じて、計算力などの認知能力のほか、忍耐力や自制心などの非認知能力、ルールに対する態度(ルールコンピテンシー)などを高める教育手法です。未知の課題や困難に対して、自分で道を切り拓ける力を培うことを目指しています。
本来、「遊び」と「学び」はまったく別のものではなく、多くの共通点があります。私たちは「遊びに夢中になっている状態」は「学習が促進されている状態」であると捉え、楽しむために作られたボードゲームがもたらす学びの要素や学習促進の効果を応用する教育手法を研究・実践しています。
ボードゲームは、そのプレイを成立させるためにプレイヤー全員がゲームルールを共有していなければなりません。ルール上では競争関係にあったとしても、体験的には相互に協力する姿勢、マナーや態度を育てます。
個々のゲーム内容に応じたさまざまな体験を通じて「コミュニケーション力」「創造性」「論理的思考力」などの多様な学びの要素にふれることができます。
プレイヤー全員が「楽しむ」という大きな目的を共有した上で、年齢に差があればハンディキャップを検討することも。こうした体験は与えられたルールに対して、目的をもって能動的に関与する姿勢を育みます。
笑い、驚き、歓喜、後悔。ボードゲームは短い時間の中にさまざまな感情を呼び起こします。豊かな感情はプレイ中の気づきや学びを深め、記憶の定着にもプラスの働きを与えます。
ボードゲームの楽しさと学びを最大化するためにボードゲーム教育の実践者(ファシリテータ)が心がけることの一例を紹介します。
ゲームの結果はもちろん、マナーに関する失敗も、恥ずかしいことではなく、経験しておくべきことだという姿勢で迎えます。
プレイヤー自身が考えて導いた結果は、たとえそのゲーム内で最適ではなかったとしても、その行動と選択を行ったことそのものをプラスに評価します。
ゲームの世界への没入感を高める工夫や、気持ち良いリアクションを心がけ、ボードゲームを楽しく遊べる雰囲気作りに努めます。
プレイ後は、自分や他人のプレイを振り返りを促します。「もし、あのときこうしていたら」などの想像力を働かせて、学びを広げ、深め、共有します。
多様なプレイヤーと多様なルールのボードゲームを遊び、さまざまな勝敗の形、体験の違いなどにふれる機会をつくります。