この度、今大会の大会長を務めさせていただくことなりました黒滝です。日本家族心理学会はこれまで四国で大会が開催されたことがなかったということで皆様に讃岐の地にお越しいただけることを楽しみにしておりましたが、今回の新型コロナウィルス問題を鑑みまして通常開催を中止し、オンラインによる開催という運びとなりました。
今大会の主催を務めさせていただく香川大学では、2018年4月より医学部の中に臨床心理学科を設置いたしました。これは日本における国立大学では初めてのことであり、大変珍しいことかと思われます。また、奇しくも公認心理師資格制度の開始と同時期のスタートとなりました。現在、日本における心理援助者の活動領域は多岐に亘っており、その中でも医療領域は代表的なものの1つに挙げられます。しかし、心理臨床活動においては医療領域に限らず、教育領域や福祉領域といったどの分野においても医学的知識および視点が少なからず重要となっているのではないでしょうか。心理学的な知識のみならず、医学的素養を医学科や看護学科といった他学科の学生と共に学びながら社会に貢献できる心理援助者の養成を目標の1つとして、本学科は開設されました。また、2020年4月からは香川大学大学院医学系研究科臨床心理学専攻も開設され、より専門的な教育を提供する場を整えることもできました。
今大会の開催を本学で務めさせていただくにあたり、医学部にある臨床心理学科ならではの内容をご用意できればと考えました。その1つが「遺伝」です。「家族」と「遺伝」の関係の重要性については言うまでもないことでしょう。そして、遺伝に関する問題には当事者だけではなく家族に対してのケアも欠かすことはできません。家族における心理学と医学が関わる重要なトピックとして「遺伝」というテーマは相応しいのではないでしょうか。
オンライン開催という初めての形式の中、皆様にもいろいろなご不便をおかけするかと存じます。少しでもご満足いただける内容を目指すべく、準備委員会として知恵を絞っていきたいと思います。皆様にはご理解いただくとともに、是非とも大会にご参加いただけますよう何卒よろしくお願い申し上げます。そして、是非いつの日にか讃岐の地にも足をお運びいただけますと幸いです。
大会長 黒滝 直弘